著作権に関する業務を担当される方
著作権に関する業務を担当される方
情報通信技術(ICT)の発達により、インターネット、パソコン、タブレット端末等が普及して久しく、いまや、これらは日々にビジネスに欠かせないツールとなっています。一方で、こうしたICTの発達は日々当たり前のように行っていることが、実は第三者の権利を侵害する、自らの持つ著作権を第三者に侵害されるといった場面を増やしています。
このセミナーでは具体的なケースを取り上げて、自社の権利を守り、かつ第三者の権利を侵害しないために必要な基礎知識を解説します。
企業の法務・知財担当者を中心として、広報、総務、ITなど関連する部門の皆様が日々直面し得る課題について、参考になる内容となっております。
本講義は、一般社団法人企業研究会が主催しております。
第1 企業の担当者が押さえておくべき著作権法の基礎知識
1. 基本的な判断フレーム(著作権を主張する際、他者の著作を使用する際のチェックポイント)
①権利の有無
②権利の帰属主体
③権利の内容
④権利制限規定への該当性
⑤権利者からの許諾の有無
2. 権利の有無
・著作権法で保護される「著作物」
・著作権法に定められた権利の保護期間、など。
3権利の帰属主体(著作者、実演家等)
4著作権法で保護されている権利の内容
・著作者の権利、実演家等の権利
5権利制限規定への該当性(私的使用目的の複製、引用、など)
6権利者からの利用許諾等
第2 ケーススタディ
1. 他者の製品カタログに掲載されている統計データやグラフ、写真を自社製品について転用することはできるか。
2. 各種商品レビューサイトを運営するにあたり、メーカーHPやカタログ掲載の画像を転載することはできるか。
3. 自社製品の取扱説明書とそっくりに作られた同業他社の取扱説明書の使用をやめさせることはできるか。
4. 自社で運営するインターネットサイトの利用規約が著作権を侵害すると警告された。利用規約にも著作権はあるのか。
5. 当社が企画販売するデザイン性の高い家電製品の類似品が市場に出回っている。やめさせられないか。
6. 著作権法では、コンピュータプログラムやデータベースはどのように保護されるか。
7. 江戸時代に描かれた絵画を会社案内、贈答用のカレンダー、商品の絵柄に用いることはできるか。美術館に収蔵されている絵画である場合はどうなるか。
8. いわゆるフリーソフトやフリー素材を使う場合の注意点は。
9. 教材制作会社の当社から独立した元社員が、自分が作成した問題集の著作権は自分にあるので当社が使用することはできないと言ってきたが本当か。
派遣社員や業務委託先だった場合はどうか。
10. 店舗での音楽や雑誌の利用
(1)飲食店でBGMとして音楽を使用する場合の注意点を教えてほしい。
(2)美容室、喫茶店、クリニック等にお越しのお客様向けに雑誌を無料で閲覧できるようにすることは可能か。
11. 繁華街に商業ビルを多数保有している当社では、ビルの壁面に大型スクリーンを設置し、様々な映像や音声を流している。法律上どのような点に注意する必要があるか。
12. 会社内での著作物利用上の注意点。
(1)新聞や雑誌記事を社内で情報共有することはできるか。
(2)社内の会議資料に、書籍や雑誌、インターネットニュース、他社のウェブサイトのコンテンツを用いることはできるか。
(3)官公庁の作成した資料を業務上用いる場合の注意点は。
社内資料として使う分には問題ないか。
13. ショッピングモール内に設けた無料の託児施設の壁に子供に人気のアニメキャラクターを描くことはできるか。子供向けサービスとして無料で配る風船に描くことはできるか。
14. 最近流行のTVドラマの主人公のファッションが話題になり人気になっている。当社が運営するショップでも、その流れに乗って似たようなアイテムを販売して売り上げを拡大したい。ショップ店頭で、ドラマや主人公の名前・タイトル・ロゴといったものを用いることはできるか。TVドラマのワンシーンを静止画として引用することは可能か。
15. 建物、電車、風景の雑誌や映画での利用
(1)当社所有の複合型商業施設の建物写真が掲載されている雑誌を見つけた。ロケや撮影で貸し出す際は契約を交わして利用料をもらっているので、この雑誌社にも利用料を請求できないか。
(2)私鉄の電車やバス会社のバスの写真やイラストを掲載した雑誌や絵本を出版することはできるか。
(3)実際の街並みの風景を撮影、再現した映画を作ることに問題はないか。
16. 催事の一環として美術展を行おうと企画している。作品を所有している個人コレクターから借りたものを展示することはできるか。解説用の冊子を作成したり販売用の絵葉書にすることはできるか。
17. 著作権に関連する契約上の留意点
(1)業者に委託して制作した自社HPの著作権は自社にあるのか。
(2)自社商品のイメージ刷新のため、外部業者によるコンペを実施して採用したデザインについて、後日、第三者からそのデザインが自分の権利を侵害していると警告された。当社に責任があるのか。外部業者の責任にはならないのか。
(3)キャラクターの商品化契約を締結する際の注意点は。
(4)ライセンス先が商品の製造数量を過少申告している場合に実務上どのような対応ができるか。
(5)基幹業務システムの提供元ライセンサーが倒産した場合、引き続き使用することはできるのか。
18. TwitterやFacebookなどのSNS上に会社の公式アカウントを設けている。著作権法上どのような点に留意が必要か。
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シティ法律事務所 パートナー 弁護士 古谷 誠氏
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