企業の資本性資金調達においては、普通株式の公募がまず第 1 の選択肢とされてきましたが、短期的な希薄化の影響と株価へのインパクトが大きいこともあり、近時、新株予約権や CB を証券会社等に対して発行する第三者割当型ファイナンスの件数が 2017 年から 2018 年にかけて大幅に増加しています。第三者割当型ファイナンスは、証券会社等が市場動向に応じて複数回に分けて新株予約権を行使する(取得した株式を市場内外で売却する)ため、希薄化や株価への影響など既存株主に配慮したファイナンス手法である点に加え、行使条件や割当先との合意により、将来発生する可能性のある資金ニーズに柔軟に対応できるようにするなど柔軟な商品設計(行使価額修正条項、行使指定条項、行使停止条項、ターゲット・プライス型、複数トランシェ・複数手法の組み合わせなど)が可能である点でも注目が集まっています。また、「一部コミットメント型」や「行使価額ノンディスカウント型」といった新しいスキームが登場したことにより、株主にやさしいファイナンス手法であるライツ・オファリングにも再び高い注目が集まっております。
その他、資本効率向上に資するリキャップ CB の発行(CB の募集と自己株式取得の同時実施)、英文目論見書を作成せずに行う海外募集(Undocumented Offering)、種類株式やハイブリッド証券の活用など、各企業が自社の資金ニーズのみならず、経営環境、株主構成、中長期的な資本政策等を分析したうえで、積極的にファイナンス手法を選択していくことが一般的になりつつあります。
本講演では、新株予約権等による第三者割当型ファイナンスやライツ・オファリングなど近時注目が集まるコーポレート・ファイナンスの動向や案件等につき概説するとともに、実際に企業の担当者が資本市場での資金調達を検討する際に、どのような選択肢があり、いかに選択し、実行していくかについて、法務面と実務面の重要ポイントを中心に、基本的な事項から分かりやすく解説いたします。企業の資本政策・資金調達戦略検討の基礎として、ファイナンスの経験の有無にかかわらず、上場企業の、経営、財務、経営企画、法務のご担当者に是非参加頂きたい講演です。