平成 19 年に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(政府指針)がリリースされて 10 年超経過しました。この間に反社会的勢力への包囲網は急速に狭まりました。銀行取引、不動産取引、その他主要な取引から反社会的勢力は次々に排除さ れています。司法判断においても反社会的勢力排除は社会の要請・課題と述べる裁判例まで登場しています。まさに追い風が吹いているともいえる現況です。
ところが、この追い風に乗って企業と反社会的勢力の関係遮断は最終局面に入ったと考えていたところに2つの衝撃的な事件が発生しました。「闇営業問題」は、知らぬ間に反社会的勢力と関係を持ってしまう怖さを知らしめました。5月に出された金融庁行 政処分は、警察がシロ回答した先との取引先への融資が問題とされ役員らが辞任に追い込まれました。「警察はシロと言ったのに」 と嘆いても仕方がありません。なぜ、このような展開になってしまったのかについて、その構造をきちんと理解して対策を立てる 必要があります。
他方で 6 年前の暴力団向け融資が取沙汰された事件を契機に、不正確な情報が拡散し、過剰反応と思われる企業の対応が散見されるようになりました。企業として何をすべきかについて冷静に判断すべき時と言えます。いずれにせよ、事件前後で反社会的勢力との関係遮断について求められるレベルは確実に変わりました。今こそ、拙速ではない確実な反社会的勢力排除の手法を正確に押さえておく必要があります。
また、6 月の株主総会集中日に向けて近年その勢力は弱体化傾向にあるとは言われつつも総会屋が活動していることを背景に警視庁は警戒態勢を毎年しいております。実際には近年総会屋による深刻な混乱は発生しておりませんが、反社会的勢力との関係をネタに利益供与を目論むことなども予想されるため、総会屋対策はまだまだ油断ならない課題です。
本セミナーでは、反社会的勢力との関係遮断を実際に自ら対応する中で、数多くの反社会的勢力との実際の折衝、暴力団対策を担当する警察官への研修、最近では「闇営業問題」に関連して「準暴力団」への対応についてテレビのコメンテーターを務めるなど多くの経験を積まれた森原憲司弁護士に、実務で実際に使える様々な手法を解説していただきます。講師は、10 数年前には不良債権回収の現場において、現在では地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会の反社会的勢力対策の豊富な講師経験のみならず、多くの事業会社の反社会的勢力との取引解消の実際の現場において、連日のように反社会的勢力と折衝を重ねておられますので、その手法は現場を熟知した安全かつ実効的な手法といえます。また恒例となりましたが、時間の許す限り個別の質問にもお答えいたします。