2019 年 12 月 4 日、5 年ぶりの大改正となる令和元年改正会社法が参議院において可決され、成立しました。改正会社法においては、まず、株主総会に関して、上場会社における株主総会資料の電子提供制度の一斉採用や、株主提案権についての議案の数の制限の追加、取締役報酬に関する株主総会決議の規律の見直しなどが行われます。また、取締役に関して、上記の株主総会決 議の規律の見直しに加えて情報開示の充実等も図られているほか、会社補償・D&O 保険契約に関する規律の導入、上場会社等における社外取締役の設置義務付けなど、多面に亘る改正事項が含まれています。そのほかにも、自社の株式を用いた新たな M&A手法としての株式交付制度、社債の管理のため社債管理補助者制度の創設や、会社代表者の住所に関する登記の取扱いの見直しなど、実務上関心が高いと思われる事項が含まれています。
さらに、2020 年 9 月 1 日から 30 日にかけて、会社法改正に伴う法務省令の改正案等についてパブリック・コメントの手続が行われ、上記の改正会社法の規律のうち、法務省令に委任されていた細目の全体像が見えてきています。
令和元年改正会社法については、一部の規律を除いて 2021 年 3 月 1 日の施行が予定されていますが、各社においては、施行に先立ち、法務省令を含む改正内容を理解し、自社にとって必要な対応を見極めていくことが重要となります。
本セミナーでは、法務省令改正案の内容も踏まえて令和元年改正会社法のポイントを整理して説明するとともに、実務における留意点等について解説します。