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フロー体験
「フロー体験」とは、アメリカのポジティブ心理学研究者M.チクセントミハイによって提唱された理論です。「フロー(flow)」とは、人が完全に集中して、時間が経つのも忘れて夢中になっている心理状態をいいます。東洋哲学でいうところの「無我の境地」、あるいはスポーツ選手が使う「ゾーン」と同じ状態を表しています。
例えば、人がゲームなどに深く没入すると、並外れた集中力を発揮するとともに、満足感や自己統制感の高まりを感じることがよくあります。これがフローと呼ばれる状態です。
また、フロー状態に入っているときは難しいテクニックを苦も無く習得できた、高得点を出せた、という結果を得た方も多いと思います。つまりモチベーションの高いフロー状態を何度も体験することで、充実感を得ながら自分の限界を超えた能力を養うことができます。
職場でもこのようなフロー状態を意識的に作り出せるようになると、楽しく仕事に没頭しながら高い成果を出せるようになります。職場でフロー状態を作り出すためのポイントとなるのは、適切な目標設定とフィードバックです。持てる能力と課題のバランスがとれた明確な目標を上司が設定し、素早くフィードバックを与えていくことで、部下はモチベーションを高く保ったまま目標達成に取り組めます。
部下のモチベーションを高めるうえでは、自らコントロールすることができない外的動機付け(報酬を上げる、昇格させるなど)だけでなく、「自分が楽しいからやる」という内的動機付けが欠かせません。フローとはまさに「楽しいから時間を忘れて続けてしまう」状態であり、フロー効果を得られる仕事の経験を通じて部下の成長を促すことは、上司の大切な役割です。
モチベーションにあふれた職場では、イノベーション創出や生産性向上、エンゲージメントの強化など多くの成果が期待できます。フロー効果を上手に活用し、組織力の向上につなげていきましょう。