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ハラスメント・ハラスメント
ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)とは、他人からの行為や言動に対して、自身が不快に感じたり、嫌悪感を抱いたときに「ハラスメントだ」と過剰に主張する行為をいいます。例えば、上司が部下に対して日常の業務指導をしたつもりが逆に「パワハラだ」と攻撃された、露出度の高い服を着てきた女性社員に注意したら「セクハラされた」と相談窓口に訴えられた、などのケースがハラハラの事例としてよく挙げられます。
近年ハラハラが増加している背景には、ハラスメントの問題がメディアなどで頻繁に取り上げられ、個々のハラスメント意識が高まっていることがあります。本当にパワハラやセクハラを受けている可能性もありますが、普段から好ましく思っていない人に対して事実以上に過敏に反応し、相手を窮地に追い込む嫌がらせの場合もあります。現場監督者やハラスメント相談窓口の担当者は、実際の状況をよく見極めて対応しなくてはなりません。
ハラハラ防止のためには、ハラスメント行為に該当しそうな「グレーゾーン」についての認識を、現場指導にあたる管理職やリーダー層に徹底させることが重要です。指導や注意のつもりで声をかけても、相手はハラスメントと感じる事例を知っておくことで、自身がハラハラ被害者となるリスクを低減できます。
また、ハラスメントに対する罰則を就業規則などに明記したうえで、全社的な周知・啓発を通じてハラスメント行為を禁止するという組織の方針を強く打ち出していくことも、ハラハラの抑止策として有効です。
沈黙しがちだったハラスメント被害者が声を出せるようになった現状は喜ばしいことです。しかし、ハラハラを恐れて必要な指導ができなくなるのは、部下の育成やチームの成長に対する障壁となります。あらゆるハラスメントが起こらない組織をつくるには、一人ひとりが自分の感情をコントロールするスキルや、率直な意見を言えるアサーティブコミュニケーションのスキルを身につけ、お互いを尊重しあえる人間関係を築くことも大切です。
誤解や濡れ衣であっても、ひとたび「ハラスメントだ」と問題視されると、加害者とされる個人の名誉回復は難しく、また企業の信頼も著しく傷つけられます。そのようなリスクから組織を守り、安定した成長を継続するためには、研修・動画教材を用いた継続的なハラスメント防止教育による意識向上や、心理的安全性の高い職場づくりがカギになります。