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リベラルアーツ(liberal arts)とは

リベラルアーツ(liberal arts)とは、ギリシャ・ローマ時代の自由7科(文法学・修辞学・論理学・算術・幾何学・天文学・音楽)に起源を持つ、「人を自由にする学問」のことです。「人がもつ必要のある実践的な知識・学問の基本」として、現代の大学教育においてもその概念が広く取り扱われています。

リベラルアーツが求められる背景

近年、リベラルアーツの分野をリーダー教育のプログラムに積極的に取り入れる企業が増えています。その背景には、以下のようなニーズがあると考えられます。

①VUCA時代に求められる決断力の向上
先行きが見通せないVUCA時代において、前例踏襲は通用しません。そのような中、リーダーにはシビアな選択や経営上の決断を迫られることもあります。専門的な知識を深めることも大切ですが、それだけではなくリベラルアーツにより幅広い知識を身につけることで、物事を多面的に捉える思考力が養われ、大局的な観点から最適解を導き出せるようになります。

②イノベーションの創出
複雑化した社会では、旧来の専門分野や経済定説だけで新たな価値を生み出すのは困難です。リベラルアーツを学んでジャンルレスに見識を深めることで、イノベーションに欠かせない柔軟な発想力や創造力を高めることができます。

リベラルアーツの効果

現代では社会課題が複雑に絡みあっており、リベラルアーツを学ぶことで即効性のあるスキルや直接的な解答が得られるわけではありません。しかし、幅広い知識を得ることで視野が広がり、俯瞰的な視点から考える姿勢が醸成されます。そして、論理的な筋道や新しい切り口へのヒントを見出し、様々な課題を解決しうる統合的な力が養われます。

リベラルアーツによって培われる広い視野・自在な発想・偏らない姿勢は、まさにリーダーの資質として求められるものです。そのような高い人間力を持ったリーダーを育成するために、貴社の人材教育にもリベラルアーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。

リベラルアーツ教育の事例

最後に、リベラルアーツ教育先進国であるアメリカのこともご紹介します。優秀な人材を次々と輩出するアメリカのエリート教育の源泉が、このリベラルアーツ教育にあると考えられています。

世界大学ランキングで東京大学よりも上位にランキングされる世界的に有名なコロンビア大学は「リベラルアーツ教育のパイオニア」と称されています。なぜなら、コロンビア大学が第1次世界大戦後にいち早くリベラルアーツ教育を実践しはじめ、100年以上研究を重ね学生に対しての教育を進化し続けた結果といるでしょう。

コロンビア大学では「哲学」「宗教」「芸術」「サイエンス」の4分野がありますが、学生に教えているのは歴史も含めた経緯や思想で専門技術ではないところが特徴です。そして学生に向けて講義されているのは、一般教養というよりエリート(一流)になるための人間力を磨くためのトレーニングです。コロンビア大学での講義は、知識を得るためのものではなく、社会で役立つノウハウでもありません。世の中でワンランク上の人間、つまりエリート(一流)になるためのトレーニングともいわれています。

リベラルアーツの始まりは、古代ギリシャから続く「ヘレニズム」に基づいているといわれています。大小さまざまな「戦争」を繰り返しながら、哲学や宗教、アートやサイエンスを「発展」させ「進化」させてきました。そのことが人間力を高め、今の社会を発展させてきたからリベラルアーツは価値がある教育ともいえるでしょう。

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