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リソースアロケーション
リソースアロケーション(Resource allocation)とは、経営資源または経営資産を理想の状態で有効活用するための配分、または割り当てをいいます。
企業経営にとって役立つさまざまな要素や能力のことを「経営資源(Resource)」と呼びます。ヒト、モノ、カネ、情報の4つが四大経営資源と呼ばれていますが、近年ではこれ以外にも「時間」や「知的財産」も資源に含まれると議論されています。これらのリソースを、環境変化や企業の経営状態に合わせて適切に配分して活用することが重要です。
例えば、コロナ禍をきっかけに出社率が減少した企業では、都心のオフィスを解約・縮小する動きが広がっています。これは所有不動産というモノ資源の見直しにつながります。また、バックオフィス業務を外部委託にするのも、限られたヒト・モノ・カネを有効活用する手段のひとつです。外部・内部環境が激変し、企業活動の進退の波にも変化があるなかで、常にリソースアロケーションを最適化するためには、組織のトップや管理職が適切かつ迅速な判断力と決断力を身につける必要があります。
また、リソースを集中的に配分する事業を決めるには、組織独自の強みや能力であるケイパビリティを見極めることが重要です。情報や技術の格差が減少する現代において、組織のケイパビリティを活かせる事業を育てることが、他社との競争を勝ち抜く原動力となります。
多くの組織で、最も大切な経営資源と位置づけているのは「人」でしょう。なぜなら、人こそが「他の資源を動かす原動力」になるからです。どんなに潤沢な資金があっても、それを使うのは人です。最新鋭の設備を備えた自動化工場も、機器を動かす従業員が必要です。また、情報は人間がそこに意味づけを行い、付加価値をつけることで「価値ある情報」となります。つまり、見込みのある事業に優秀人材を集中して投入することこそ、効果的なリソースアロケーションの実現につながると考えられます。
他の資源と違って、人は「育てることができる」資源であり、無限の可能性を秘めています。能力開発やスキル開発はもちろん、組織の人材がいきいきと働くための健康管理や職場環境の整備に注力することは、重要な経営戦略のひとつであると肝に銘じましょう。