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反転授業
「反転授業」とは、従来の「集合授業を受けた後、各自課題や復習を行うことにより定着を図る」方法とは逆に、「事前に各自が学習し、集合授業でアウトプットし知識を深める」学習方法です。e-ラーニングやオンライン学習などを通じて、各自で事前にインプットしておくことで、集合授業(研修)ではディスカッションやグループワークといったアウトプットに時間を割けるため、知識の定着と応用力の向上が見込めると期待されています。
元々は学校や塾などの教育現場から始まった学習方法ですが、最近では人材育成における効果的な手法として、反転授業形式の研修プログラムを導入する企業が増えています。忙しいビジネスパーソンでも、知識のインプットにeラーニングやオンライン学習を活用すれば個人の都合で予定を調整できるため、学習しやすいというメリットがあります。また、講義内容を繰り返し聞いたり、逆に飛ばして聞いたりできるなど、個人の理解度に合わせた学習も可能なことから、意欲的に学習に取り組めるようになります。
このように大きな学習効果が期待される反転授業ですが、課題もあります。例えば、事前学習を個人の自主的な取り組みに任せてしまうと、知識の習得度合いにバラつきが生じる可能性があります。さらに、これまで一方的に講義を行う形式で集合研修を行っていた組織では、より実践力の高い参加型プログラムを用意するともに、そのようなプログラムに対応できる講師の養成も行う必要があります。
まずは、各自が事前学習に積極的に参加するよう、個々の業務内容や階層に合ったテーマが選定されているか、教材が事前学習に適しているか、といった点を見直してみるとよいでしょう。さらに、研修担当者がLMS(学習管理システム)などを使って学習を促す仕組みがあると万全です。また、集合研修の効果を最大限にするためには、受講者の「気づき」を促す指摘の仕方や考えの引き出し方といった、講師のインストラクションスキルの強化が求められます。
より効果的な人材育成実現のために、eラーニングなどの「自習型」と研修などの「対面型」教育を上手く組み合わせ、自組織に最適な教育体系をいかに構築できるか、担当者の手腕が問われていると言えるでしょう。