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ティール組織
「ティール組織」とは、階層構造や管理マネジメントの仕組みが存在しない、組織の目的の達成のために全メンバーが個別に意思決定を行う自律型組織のことを言います。
『ティール組織』の著者フレデリック・ラルーによって提唱された組織論で、旧来型の組織とは一線を画する「進化型の組織」のマネジメント手法として注目されています。
ティール組織の概念では、組織は以下の5段階で進化すると考えられています。
①レッド(衝動的)組織・・・「オオカミの群れ」
オーナー社長のワンマン経営など、トップに依存する組織。トップへの忠誠心と恐怖心が組織を支配する。ルールや制度はトップの意思で変わるため、組織の再現性が低い。
②コハク(順応型)組織・・・「軍隊」
厳格なヒエラルキー構造の組織。個人の力に依存せず、共通の価値観やルールでメンバーの行動を統制する。組織の安定が保たれる一方、環境変化に弱い。
③オレンジ(達成型)組織・・・「機械」
階層構造を維持しつつも、個人が成果をあげれば出世できる組織。イノベーションも生まれやすい柔軟な組織体制だが、効率重視に陥りがちで、過重労働につながる。
④グリーン(多元的)組織・・・「家族」
トップダウンの意思決定からボトムアップも可能に。個人の主体性や多様性を重視し、平等主義を理想とするが、最終的な意思決定は経営層が持つ矛盾もはらむ。
⑤ティール(進化型)組織・・・「生命体」
指示命令系統をつくらず、全メンバーが個別に意思決定を行う自律型組織。独自のルールや仕組みを工夫しながら、進化する組織目的の実現を目指す。
現代の組織の多くはオレンジ組織に該当しています。
ティール組織はそれだけが独立したものではなく、レッド~グリーンまでの要素を踏まえ、内包してさらに進化した形です。また、すべての組織においてティール組織を目指すことが適しているわけではありません。例えば軍隊の場合は、全体の統制が取れていることが重要になるため、コハク組織が向いています。
機械のように働き続け、人間らしさが失われてしまう懸念のあるオレンジ組織から、メンバーの多様性が尊重されるティール組織へ進化を遂げるためには、3つの重要なポイントがあります。
①存在目的(エボリューショナリー パーパス)
「自組織は何を実現するために存在するのか」という問いを、メンバー全員で探求する。
②自主経営(セルフマネジメント)
一人ひとりが大きな裁量権を持ち、自律的に活動する組織運営を目指す。
③全体性(ホールネス)
全てのメンバーが自然体でいられる、心理的安全性の高い職場環境をつくる。
ティール組織を目指すための考え方や取り組みは、ダイバーシティ時代の成長戦略として組織に求められるものでもありますが、突然変化しようとしても思うようにはいきません。まずは意思表示が安心してできる心理的安全性や、一人ひとりが意思決定と行動を行えるようにセルフマネジメントができる環境を整えることが必要です。個人と組織、双方の変化を踏まえ、将来的に組織が進化を続けるためにも、まずはティール組織の考え方を部分的に取り入れてみてはいかがでしょうか。