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ワーケーション
ワーケーションとは、「ワーク(Work・仕事)」と「バケーション(Vacation・休暇)」を組み合わせた造語で、一般的には旅行中や休暇中にリモートワークを行う労働形態を指します。
働き方改革関連法の一環として、年5日の有給休暇の時季指定が義務付けられたこともあり、従業員の有休取得を奨励する企業が増えています。しかし実際には、「自業務の性質上、長期間まったく会社に行かないことは難しい」という人も少なくありません。その解決策として注目されているのがワーケーションです。すでに導入済みの企業では、従業員が国内外のリゾート地や帰省先といった環境の良い場所で、長期休暇の間にリモートワークを行っています。
従業員にとって、業務に支障をきたすことなく休暇を取れるのが、ワーケーションの最大のメリットです。年間を通じて家族旅行などの計画が立てやすくなるなど、ワーケーションはワークライフバランスを実現するカギとなり得ます。さらに、雑多な業務や会議等から解放され、リゾート地のような良好な環境に身を置くことによって、ストレス軽減、集中力アップ、アイデアが生まれやすくなる、といった効用もあります。一方、企業側にも、柔軟な働き方の実現による離職防止効果、リフレッシュしながら仕事することで生産性向上が見込める、といったメリットが期待できます。
しかし、実現に向けてはいくつかの課題もあります。ひとつめには、情報セキュリティ面の不安です。見知らぬ土地で安全性の低い無線LANに接続してしまうリスクや、情報端末の紛失・盗難といった危険性が高まるため、より厳格なセキュリティガイドラインの整備、あるいは従業員のセキュリティ意識向上を強く促す必要があります。 ふたつめには、OnとOffの切り替えが難しいことです。時間を決めずだらだらと仕事をしてしまったり、業務が気になって旅行先での予定を存分に楽しめなかったりでは、しっかり休みを取ったという満足感が得られません。
労務管理が煩雑になるため、実際にワーケーションの運用を始める前には、出退勤の記録をどのようにするかといった就業規則の整備を進めておくことが肝要です。また、どんな環境下でもメリハリのついた働き方ができるセルフマネジメント力、指示がなくても主体的な働き方ができるようなマインドを強化する教育も、ワーケーションを定着させる施策の一環と言えます。
休み方の選択肢を広げ、個々人のワークライフバランスを実現しやすい組織にすることは、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。新しい休暇制度を「実施する意義のある制度」として定着させるためには、まずは組織内で議論を深めていくことが重要です。