実は今まで仕入が必要な現物商売をしたことがありません。仕入で注意しなければならないことは何ですか?
売上計画を立て、その達成に必要な量の仕入をしてください。
個人のアパレル業の店主・社長はそもそも仕入の基準(考え方)を持ち合わせていないことも多いです。必ず以下の点はおさえておいて下さい。
仕入を考えるときに「仕入金額」を出すという計算を必ず行うようにしてください。「仕入金額」とはその名のとおり、仕入時の合計金額ですが、以下のように算出します。
仕入金額=売上金額×原価率÷消化率
この計算の「売上金額」は売上そのものですが、「原価率」、「消化率」について少し解説します。 原価率とは仕入原価が売上に占める比率です。アパレルの小売店では原価率は50%くらいになります。これは売上100に対して原価が50という意味です。
消化率は仕入た商品をどのくらい売り切ることができたかを表します。消化率が80%であれば8割の商品を売り、2割が在庫として残っている状態です。
それを踏まえて、仮に売上目標100を達成するため原価率50%、消化率80%と想定した場合の仕入金額を計算してみましょう。そうすると以下のような式になります
A=100×50%÷80%
A=62.5
そうすると答えは62.5となります。つまり、想定どおりであれば62.5買えば売上目標に到達する計算です。
しかし、全く想定どおりいくなんてことはあるはずも無く、実際は売れ残りが増えたり、売れ残りを処分するために値引きをして売上が減ることが起こります。仕入後に仕入金額から売上金額を逆算する場合(仕入金額が多すぎた場合など)、あとどれくらい売らないと過剰在庫になってしまう。という認識をしなければなりません。
その場合は先ほどの仕入62.5から売上を逆算してみます。仮に70%の消化率になりそうな場合なら、
62.5=B×50%÷70%
B=87.5
となりますので、1割以上売上が目標に届かないことになり、在庫も20%から30%になりますから想定より1.5倍も在庫が残ってしまいます。
上記の計算は非常にシンプルですが、販売費を入れて利益を計算したり、売上目標の修正をするときなど、様々な計算の元になります。常に頭に入れて仕入計画を立てるようにしてください。
季節によって商品の品揃えの変化とセールの時期があります。あくまで一例ですが春物は3月~5月、夏物は6月から8月、秋物は9月から11月、冬物は12月~2月です。また、セール時期は1月と7月です。セール時期はアパレルだけではなく、どの食品や雑貨など、その他の小売店もセールをしていることが多いです。
つまり、この期間(売れ残りを想定して最初の2ヶ月間)で売り切ることができるくらいの量を仕入れる、ということになります。また、1月と7月はセールで、もともと値下げをすることになりますので、どのくらい値引きするからどれくらい仕入を増やすのか、を計算に入れておいてください。
仕入では計算が必要ですが、そもそも売れる商品を仕入れることができなければ元も子もありません。まず、ターゲットは誰か?(年齢・性別・テイスト)、どのようなコンセプトの店なのか?、それに合う商品は何か?などです。各店舗によってその種類は何通りもあります。
とは言っても「自分がこうしたい」という考えだけで、仕入れても売れ残ることが多いですから、売れる商品を選ぶために、
①デパートや周辺住民の顧客層をまずはよく把握すること
②その人たちの趣向をよく観察すること
③他店の品揃えを見る
など、よく考えた上で売れる商品を仕入れることから考えるようにしていくと良いでしょう。それでも売れるときは売れるし、売れないときは売れないものです。アパレル業の仕入では博打的な要素を取り払うことはできませんね。
例えば、よく売れるはずだからといって、ジャケットばかり仕入れるのは問題です。ジャケット以外にもシャツ、パンツ、スカートなど、一つのアイテムに寄らないように仕入れることが基本です。それでも全体予算を考えて、売れないと思うものは仕入れるべきではありません。仕入れるときに季節の半年~1年ほど前にメーカーで展示会を開くことが多いので、メーカーごとに仕入れるアイテムを選定して仕入れていくと良いでしょう。
仕入を計画的に行う考え方は売上目標に対して綿密に計算して行うことが分かりました。自営業の小売店だとよく読みや勘だけで行っていることが多いようですが、やはり細かく数字で予測を立てていかなければいけません。
決算書などは証券会社の経験で読めるのですが、「原価率」「消化率」などは私がこれまで触れたことが無い見方なので実際の仕入計画で使いながら覚えて生きたいと思います。
商品選びやアイテムバランスなどもしっかりとしたねらいが無いといけません。残念ながら私はファッションについては知識もセンスも乏しいので商品やアイテムの種類などについて勉強していきます。