インソース・ビジネスレポート
グローバル・タレント育成のためのフィリピン活用について
ダイバーシティに寛容になることと、英語の運用に寛容になることを混同している場合は注意が必要である。他人の英語に寛容的であることはマナーとしての意味はあるかもしれないが、自分の英語に寛容になることはナンセンスだ。特に日本人の場合、グロービッシュとブロークン・イングリッシュを勘違いしている人は意外に多い。
グロービッシュという言語体系は、ノンネイティブ・スピーカーが多数派となってグローバル化が進展している現実の世界において、フランス人のジャン=ポール・ネリエール氏が使える共通語を目指して提唱したものである。
共通語として使えるようになるためには、前節で紹介したようなローカル・ルールを無制限に認めるわけにはいかない。グロービッシュでは標準的な文法と、基本の1500単語が定められている。コンピュータの通信接続手順ほどには厳密である必要がないものの、コミュニケーションにも最低限のプロトコルが存在しないと会話は成立しないため、このような体系化が試みられるのも当然だ。
また、グロービッシュがノンネイティブのためだけにあるというイメージも誤解である。ネイティブとノンネイティブ間のスムーズなコミュニケーションを図るため、ネイティブに難しいフレーズの使用を避けさせるためのガイドラインでもあるからだ。
一方、ブロークン・イングリッシュは話者の英語レベルに依存した、ある意味、無法地帯の英語である。「通じれば良い」と割り切っている意見をたまに聞くことがあるが、このような意見を信じて良い相手は、最低でもグロービッシュ・レベルでは英語力が完成している謙虚な人だけである。そうではない人の意見を真に受け、グロービッシュではなくブロークン・イングリッシュで良いと勘違いしている人は、本人が考えている以上に外国人には自分の英語が通じていないことに、冷静かつ謙虚に向き合うべきであろう。
結局のところ、狭い範囲でしか使えない英語でも、確実に身に付け、徐々に伸ばすしか道はない。たとえば、グロービッシュであればそれを完全にものにしてから、落ち着いて次のレベルの英語、単語数でいえば5000語レベルというように目標を決め、着実に進めれば良い。肝心なことは、わからないことにわかった顔で反応しないことである。これに甘んじている間は、ブロークン・イングリッシュから抜けられる日はいつまでも来ないだろう。
フィリピンで教えられる英語とグロービッシュは当然ながらイコールではないし、グロービッシュも今のところ考え方のひとつでしかなく、全世界で公に認められたものでもない。しかし、これらに近いレベルの狭い範囲で始める英語学習の手段として考えた場合、フィリピン留学はベストではなくともベターな選択肢であることは間違いない。コストをあまり掛けず、ある程度通じる英語力獲得をデフォルトの期待値とすれば、それには十分に応えてくれそうだからである。
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