研修担当者

誰でも起きる「五月病・六月病」への積極的な健康提案とは?

やる気いっぱいで入った会社なのに「行きたくない」「だるい」「眠れない」「どうでもいい」でも休日は回復する......五月病の症状です。近年は新入社員の研修期間が長くなったことなどから、6月にずれ込み「六月病」と呼ばれることが多くなっています。
入社の緊張で張り詰めた気持ちのまま研修を受け、連休を終えて出社しても勝手のわからない職場で周囲とのコミュニケーションがよく取れない。梅雨時期でジメジメうす暗い日々、どんよりした倦怠感に襲われます。新入社員だけでなく、転勤・転属・転職などによる新入メンバーにも起こりやすいことです。
人事担当者が事前に勉強して対応準備を進めることによって、社員の精神的な負担を軽減し発症を抑えることができます。健康な職場を保つために知っておきましょう。

目次

日常的な小さな憂鬱から始まる

多くの場合は、心身の疲れは休日の休息やストレス解消で回復しますが、疲労回復の機会を失ったまま無理を続けると慢性化してしまいます。五月病は急性適応障害ですが、六月病は慢性化し始めた適応障害で「鬱病」に移行する場合もあります。
環境変化への不適応のきっかけは、職場に対する理想と現実のギャップ、上司の叱責、仕事の内容やノルマの重圧などがあげられます。真面目・几帳面・完璧主義など個人の特性による影響もあり、本人も発症に気づかないことが少なくありません。

憂鬱な気分が続くと、ネガティブ思考・やる気の喪失・疲労感・倦怠感が日常的になり、肉体的にも不眠・めまい・食欲不振・吐き気・胃痛などの症状が顕著になります。
結果、業績の低下・人間関係の悪化・クレームの増加など仕事に支障が出て落ち込み、悪循環に陥ります。本人のためにも、鬱病に進む前に対策を講じなくてはなりません。

深刻な状況になる前に

「入社後は誰でも憂鬱になる時期があるよ」と放置しておくのは危険です。五月(六月)病のせいではなく、会社の労務上の問題かも知れません。また、鬱病はじめ精神疾患の発症に至って、安全配慮義務違反にも問われかねません。対策としては、たとえば以下のようなものがあります。

・新入社員にも、自身の気分や体の変化に注意するように促す
・新入社員が職場に早く順応できるような配慮 → 生活指導・食事会・イベントなど
・オープンな職場つくりをして、誰かに相談できる雰囲気を作る
・話しにくい相談のために人事部などにあらかじめ「五月病・六月病相談窓口」を設ける
・ストレスチェック制度の利用
・メンタルヘルス制度の利用
・有給休暇の取得をすすめる → 有給発生前の新入社員には休暇の取得を進める
・医療機関の受診をすすめる
・管理職研修を行う → 現場で管理監督する管理職に、五月病・六月病の対策を教育

誰にでも起こりうることだから

新入社員に限らず誰でも、憂欝な気分になることがあります。大げさに考える必要はありません。心身の不調を予防するため、日々の暮らしかたを社内全員で共有しましょう。

・仕事は頑張り過ぎない、張り切り過ぎないこと。必要以上の残業をしない
・ストレスを溜めない → 他人と交流・腹式呼吸・気分転換など
・平日も週末も同じ規則正しい生活 → 夜更かし、徹夜、寝だめはNG
・休日の過ごし方 → リラックスと気分転換(スポーツなど)をバランスよく
・適度な運動 → ウォーキング・山歩きなどでもOK
・しっかり睡眠 → 寝不足、寝すぎは避ける。寝つきやすい環境を整える
・バランスの良い食事 → 規則正しく、よく噛んで食べること。欠食や過食はNG

※特に脳内物質セロトニンを分泌しやすくするアミノ酸・ビタミンB群・炭水化物(豚肉・鶏肉・青魚・かぼちゃ・牛乳・大豆・バナナ・ナッツ・米など)をバランスよく摂ること

心身の健康を個人だけの問題として処理することなく、人事担当者が積極的に健康提案を行いましょう。個人の健康は会社の健康につながり、人間関係や業務・業績の改善向上に貢献します。

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