効果的なOJTで新人育成を促進(前編)
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OJT研修は教える側にもスキルが問われる
筆者が新人の頃には、「俺の背中についてこい!」「技術は俺から盗め!」などと先輩によく言われたものです。
しかし、平成も30年になろうとしている今、もはやその方法は時代に馴染みません。現代の若者はそれほど単純でなく、また「教えてもらうのが当たり前」の環境の中で育っているからです。
「俺の背中を見ろ!」でついて来られて、何も言わなくても先輩の技術をしっかりと"盗める"人間は、あえて研修をやるまでもない優秀な人材です。
また、現代の若者は、「自分が成長しないのは、教える側が悪い」と本気で思っている人もいると聞きます。この意見はもちろん自分勝手なものですが、新入社員研修やOJT研修は、教える側の指導方法や企画力がかなり問われるという意味では真理をついています。
新入社員研修ではあれもこれも教えたいという風になりがちですが、必要なことを全部行うのは到底無理です。あまり無茶な目標を設定すると、新人たちのやる気がなくなってしまいます。 かといって、甘やかすのもよくありません。新入社員研修全体のレベルは、"少しがんばればできる"ぐらいに設定しておくのが適切です。
OJT研修は教える側にかなり負担がかかる
「OJT」は「On the Job Training」、 つまり「仕事の中で仕事を覚える」ということです。
「会社を見るときに、教育体系にOJTとだけ書いてあるところには入ってはいけない」と言われることがあります。
なぜかというと、「OJTだけ」ということは、「自分達だけで現場で勝手に覚えろ」ということと同義だからです。
教育・研修担当者からすれば、新入社員研修をすべて現場でのOJTでやってもらえれば楽ですが、OJT担当者が指導にかかりきりになると、現場全体が疲弊してしまいます。
また、新入社員研修は、全体を俯瞰し、かつ研修スタイルの特性を考慮して、OJTとOFF-JTを効率的に組み合わせて計画する必要があります。
例えば、マナーやビジネス文書、「報・連・相」などのビジネススキル系の研修は、OJTではなく、大人数で他の部署の新人と切磋琢磨させながら行った方が効率的で、現場も通常業務が円滑に進みます。
OJTは、部署ごとに特有なケースや、OFF-JTの基礎知識を基に実践として取り組むケースなどに限定するとよいでしょう。
また、OJTに偏らない方がよいもう一つの理由としては、教える側が一定のスキルを持っている場合とそうでない場合の落差がはげしくなると、(OJT指導者の出来・不出来で)新人にむらができる危険が生じるということもあります。