効果的なOJTで新人育成を促進(後編)
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「ほめる」・「叱る」技術
OJTで難しいのは、「教える側―教えられる側」という「上下(縦)の関係」をどのように築き、維持するかということです。
横の関係は、無理をしなくても簡単に維持できるものですが、上下(縦)の関係は非常にやっかいなものです。 その上下関係を維持するために重要なのが、適切な「ほめ方」と「叱り方」です。
人の悪い点を見つけるのは簡単ですが、良い部分を見つけてほめることは苦手という人が増えていると言われます。しかし、どんな小さなことでも積極的にほめると、新人のモチベーションが高まります。
すぐに上手にほめられるようになる方法としては、20個以上の「ほめる」言葉(バリエーション)を持つことをおすすめします。騙されたと思ってやってみて下さい。
また、叱る場合も「叱る」ことと「怒る」ことの区別をつける必要があります。「叱る」ことは、相手の成長や変化を期待し、しっかりとした目的を持ち、相手に対して期待や愛情を持って、相手に意見を言うことです。一方で「怒る」ことは、自分の不満やイライラを解消するために、その場限りの感情で相手のことを悪く言ってしまうことです。
必然性がなければ何も叱ることはありません。 叱るためにはその目的をしっかりと意識する必要があります。叱る目的としては、以下のようなことが挙げられます。
・部下、後輩に自身の悪い点を気づかせ、成長を促す
・仕事をスムーズに進めるようにする
・お互いの信頼関係を増す
「ほめる」と「叱る」がきっちりとできれば、OJT担当者と新人との間に信頼関係が生まれ、育成をより効果的に行うことができます。
OJT研修は新人のためだけのものではない
OJT研修は、新人を育成するだけでなく、社内の人材育成にも役立ちます。「教うるは学ぶの半ば」というように、OJT担当者に2~5年目の中堅社員を任命すると、自分が習得した知識やスキルを相手に教えることで、本当にそれらが自分のものになっているかを再確認し、知識やスキルをより確実に自らのものとすることができるからです。
しかし、OJTの担当者は責任重大でプレッシャーがかかるものです(2~5年目の中堅社員なら尚更です)。現場や指導者に任せっきりにせず、しっかりフォローして、悩んでいたら相談にのるなどの対応も必要です。