クレーム対応

【事例で学ぶ】「そんなこと言われても......」主張・要望をつかめないクレームを受けたら?

目次

今回の「あなたならどうする?」は......

ある新聞社の広報部に、一般市民の方からこんなクレームが寄せられました。
「新聞をつくる原料として、全世界の森林が毎日伐採されてます。
紙面はやむを得ないとしても、新聞広告や折り込み広告のムダは許せない。即刻、何とかしてください!」

「ええと......つまり、弊紙の広告やチラシの量が不必要に多く、環境への配慮が足りない、というご指摘でよろしいしょうか?」と確認しても取り合ってもらえず、30分間も同じ話を繰り返されています。

――主張・要望をつかめず、お返事がむずかしいクレームが寄せられたら、あなたならどうしますか?

このような場合のクレーム対応のポイント

1.とにかく、傾聴に専念する

2.「いったんご意見を引き取り、改めてお返事する」と約束をする

3.「意見を組織内で共有し、業務改善につなげる」と伝える

4.適度なタイミングで交代を! ~対応者を守る「エスカレーション」

1.とにかく、傾聴に専念する

クレームのなかには、
組織と全く関係ない話ではないが、そう言われてもどうしようもないもの」や、「主張・要望がよくわからないもの」もあります。

とはいえ、無下にクレームを突っぱねるのはやはりNG。
どんなクレームでも、まずは第一に傾聴、心情理解に務めて受け止めるのが基本です。

クレームに至った出来事や経緯、相手が重んずる価値観などを想像しつつ、「話させ役」に徹して話をじっくり聴きましょう

こちらが取り乱してしまうと、余計に相手の言うことがわからなくなってしまったり、相手を逆上させてしまったりします。クレーム対応では、内容に関わらず「冷静でいること」が何よりも重要です。

また、もし仮にクレームの意味がわからないときでも、それを直接的に言うのは避けましょう。

「それについては、このような理解であっていますか?」といった語り口で復唱し、確認するなどして、つねに相手を責めない・恥をかかせないことを徹底します。

2.「いったんご意見を引き取り、改めてお返事する」と約束をする

たとえば今回の「森林破壊とムダ紙」についてのクレームは、視点自体はもっともなことですし、完全に"お門違い"なものとも言い切れません。ですが、一従業員としては返事に困るところですよね。

クレーム対応で、対話が膠着(こうちゃく)状態になってしまったり、クレームにどう回答すべきか判断できなかったりする場合はしばしばあります。

そんなときは、無理にその場でクレームを解決させようとせず、「本件については、ひとまず社内に確認を取り、調査のうえで組織としてのお返事をさせていただく」という旨をお伝えしてみましょう。

このように、場合によっては折り返しのご連絡をお約束していったん話を切り上げ、相手が冷静さを取り戻す時間をあえてつくるのもひとつの方策です。

回答までのタイムラグをつくると、「怒りや不満、自分の考えをただ主張して聞いてほしかった」というタイプのクレームも、自然と解決に向かわせられることがあります。

3.「ご意見を組織内で共有し、業務改善につなげる」と伝える

また、先方に「クレームをいただいた件(不快感を与えてしまったことなど)について重く受け止めている」、「貴重な意見のおかげで、業務改善ができる」といったポジティブに意見を受け止めている旨を伝えることで、ご納得いただけることもあります。

▼頂いたご意見に対しては
・「わざわざお時間を割いて貴重なご意見をお寄せいただき、ほんとうにありがとうございます」
・「本日いただいたご意見は、社内にて必ず共有させていただき、意識向上と業務改善に努めてまいります」

4.適度なタイミングで交代を!
~対応者を守る「エスカレーション」

クレーム対応では、「さらに上席の者に対応を代わると態度が一変して、こちらの話にご納得いただける」というパターンが少なくありません。このようなエスカレーション(引き継ぎ)は、クレーム解決を早める場合があるだけでなく、クレーム対応者のストレス軽減のためにも、ぜひ体制を整えておきたい業務フローです。

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エスカレーションの仕組みを導入するにあたっては、クレーム対応にあたるメンバー全員で統一ルールをつくって共有するとよいでしょう。たとえば、「どれくらい時間がたったら交代するか」「どのような状況になったら交代するか」などの条件をあらかじめ定めておくと、いざという時にバトンタッチがしやすくなります。

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