【事例で学ぶ】自社の責任かわからないクレームがきたら?
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今回の「あなたならどうする?」は......
そば粉クレープを食べたお客さまから、「そば粉クレープを食べたあとにじんましんがでた。自分は小麦アレルギーなので、小麦粉が混在したのではないか」という電話を受けました。お客さまの話を聞くと、医師の診察結果では、「そば粉クレープとの因果関係ははっきりしない」とのこと。しかし、納得がいかないご様子で、「そちらでなんらかの補償をすべきではないか」としつこく繰り返されました〈飲食業〉。
――自社の責任かわからないクレームがきたら、あなたならどうしますか?
このような場合のクレーム対応のポイント
1. お客さまのお体の心配から始める
2. 自社内での調理からサービス提供までの各工程を再チェック(原則、数時間以内)
3. まずはご負担をかけたことを謝罪。必要であれば診断書の提出を依頼する
1. お客さまのお体の心配から始める
自社の責任があるかないかに目がいきがちですが、ここで「うちのクレープは100パーセントそば粉ですので、可能性は低いかと存じます」などと言ってしまうのはNGです。
「現在、お体の具合はいかがですか?」「大丈夫ですか」と声をおかけしましょう(心情理解)。
まずはお客さまのお体の心配から始めて、傾聴しながら事実確認をし、徐々に経緯などを明らかにしていきます。冷静にお客さまの話を聞き、事実経過について詳細に把握しましょう。このようなケースでは、とくに慎重に対応することが必要です。
2. 自社内での調理からサービス提供までの各工程を再チェック(原則、数時間以内)
「人体に影響がある」かどうかは最重要視すべき観点です。お客さまのお話や、受診したという医師の説明をうのみにせず、自社でも即座に調査を実施します。リスク管理の観点から考えると、場合によっては、アレルギー事故を発生させる危険性も考えられます。
「商品はそば粉なんだから原因であるはずがない」「医者は因果関係はないと言ってるのだから当社は関係ない」と現場担当者が安易に判断した結果、アナフィラキシーショックを見逃してしまうケースになっては取り返しがつきません。
調理過程で小麦粉が混入する可能性はなかったか、材料の加工品の中にもアレルギー物質が本当に無かったのか、厳密に調査します。正確に事実確認をしたうえで、お客さまに経緯を説明する姿勢をもちましょう。その際、誠意を感じていただくためにも数時間以内にご説明することが重要です。
3. まずはご負担をかけたことを謝罪。必要であれば診断書の提出を依頼する
お客さまに不安な思いをさせてしまったことに対して謝罪し、あわせて調査の経緯を説明しましょう。必要であれば診断書の提出を依頼し、治療費を負担するかどうかの対応を決めます。
お店側の過失が原因である場合は慰謝料等の支払いが必要になることもありますが、その相関関係がどの程度明らかかがポイントとなります。最終的な判断は法務など専門部署へ仰ぎましょう。
まとめ
本来のクレームであれば、お客さまの期待したレベルに提供側が歩み寄ることで解決を図ることができます。
この場合であれば、そのクレープは安全だと誠意をもって対応することで、お客さまにご納得いただける場合があります。管理栄養士なりメニュー開発者からご連絡するなどの対応も考えられます。
最高の商品をお届けすることはもちろんですが、サービスを追求するという点で、お客さまに大きな不満を残したままだと、クレーム対応の不手際がクチコミで広がる可能性があります。リスクマネジメント(評判リスク)の重要性も見過ごすことはできません。
クレームには、真に企業や組織の改革が求められるもの、その場で解決できるもの、消費者の勘違いによるものなど、きちんと区別できる対応力が求められます。大切なのは奇をてらわず、お客さまの気持ちを考え、真心を込めて対応することです。