【事例で学ぶ】「謝罪だけではご納得頂けないかも...」複雑な"判断"を下さなければならないクレームを受けたら?
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今回の「あなたならどうする?」は......
お子さまの体型に合わせたドレスをセミオーダーできるドレスメーカー。オーダーした後は海外の工場からお客さまへ直送されます。先日親子で注文にお見えになったお客さまが血相を変えてやってきました。
「(怒りと焦りを見せつつ)娘用の特注ドレスが、現地の工場側のミスで発送が間に合わないって......、
娘の初めての発表会はあさってなんです。いったい、どうしてくれるっていうんです?当然、全額返金してくれるんですよね?」
複雑な対応が絡み合った本件、単純に返金するだけでは済みそうにありません。
―――イレギュラーな条件下でのクレーム対応、あなたならどうしますか?
こんな場合のクレーム対応のポイントは......
1. とにかく、傾聴・謝罪に専念を!
2. 心情に寄り添いつつも「判断軸」を駆使して解決策を探る
1. とにかく、傾聴・謝罪に専念を!
ここでは、「お客さまが最も不満や悲しみを感じていることは何か?」という点を想像します。
「お嬢さまの一大イベントが台無しになってしまいそうなこと」
「間に合うかどうか不安であること」
などにあります。落胆、怒り、なぜ?といった緊張した思いを受け止め、お客さまの心が少しでも楽になるように寄り添いましょう。
どんなクレームでも、まずは第一に傾聴、心情理解に努めて受け止めるのが基本です。クレームに至った出来事や経緯、相手が重んずる価値観などを想像しつつ、「話させ役」に徹して話をじっくり聴きましょう。
2. 心情に寄り添いつつも「判断軸」を駆使して解決策を探る
この事例のクレーム対応者は、「謝罪だけではお客さまに到底ご納得いただけないはず。お嬢さまのために、代わりのドレスを準備することが最重要だ」と判断しました。
このように、クレームはその内容によって、「判断」すべきことが多岐にわたります。
クレームテクニックAtoZでお伝えした「判断力」を使います。
ちょっと復習してみましょう。
「判断軸」の大きな縦軸は主に3つ。
(1) お客さまの「納得度」に基づく判断軸
(2) 「コストとリスク」にもとづく判断軸
(3) 「客観性の高い基準」にもとづく判断軸
でしたね。
(1)「納得度」ここでまずお客さまに納得して頂くには、「あさっての発表会にドレスを間に合わせる」ことです。さらに、確実性を重視して、「在庫がある既製ドレスの中から、お好きなものをお選びいただく」という方法を提示しました。
(2)「コストとリスク」を考えた場合、当方のミスによる納期の遅れなので、ここではコストがかかっても「納得度」を優先し、「誠意のある対応」をするべきでしょう。「納期遅れは当方のミス。ドレス製作代の返金を要求されても当然だ」と考え、代金をお支払い済の特注ドレスをどうされるかは、お客さまに委ねることにしました。
(3)「客観性」を鑑みた場合、確固とした経営理念と方針に基づき、業界で一番高い水準をクリアするのか、世間一般の常識をクリアしたレベルを目指すのかは組織としての姿勢が問われることでしょう。
同じ組織内の人間によって対応にばらつきが出ないよう、上司と十分相談の上、「判断」することが求められます。手続を進める間でも、お客さまの「心情」に即した話し方や言葉づかいなど、都度「判断」しなければなりません。
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