ヒアリングスキルを磨く ~お客さまの心をつかむセールス(4)
コミュニケーションにおいては3つの「きく」があり、自分の意識の向け方によって、「きく」という行為は全く違ったものになります。また、それに対する相手の反応も全く変わってきます。
「聞く」~特段の注意を払わずに、相手の声を耳に入れる
「聴く」~相手の話に注意を向けて共感し、かつ相手の話の背景に考えを巡らせながら理解を示す
「訊く」~相手の背景に考えを巡らせながら、かつ相手が回答しやすいように注意を払い、質問し、答えを求める
上手に「聴く」ことと、上手に「訊く」ことによって、相手が実際に話したこと以上の、"言外にある真の答え"を引き出すことができます。
- 目次
聴くスキル
相手が「話しやすい」「気持ちよく話せる」状況は、こちら側の聴く姿勢でつくることができます。お客さまに気持ちよく話していただくためのポイントを確認します。
1.うなづき・アイコンタクト
目を見て話す、うなづくという動作によって相手に聴いていることを伝えます。
2.あいづち(共感のフィードバック)
あいづちという反応をすることで、それを受け取る相手に「承認された」という意識が芽生えます
例)「はい」 「ええ」 「さようでございますね」 など
3.名前を呼ぶ
名前を呼ばれるたびに相手は自分の存在を認められているのだなと安心感を得ます。相手の名前を一度うかがったら、その後は名前で呼びましょう。
例)「○○様、大変お待たせいたしました」
「○○さんの仰る通りでございます」 など
4.反復・言い換えをする(事実・要約のフィードバック)
相手の話をスムース(これがポイント)かつ正確に理解します。そして、それを反復したり、言い換えたりすることで、相手は「理解された」という気持ちになります。
例)「○○なさったのですね」
「それは○○ということでよろしいでしょうか」 など
5.具体的な言葉で、相手の感情に理解をし示す(感情のフィードバック)
事実だけではなく、相手を気にかけているという姿勢を伝えることができます。まずは、(自分がそのように思っていなくても)いったん気持ちを受け止めましょう。受け止める前に否定してしまうと、相手はあなたの言葉に耳を傾けなくなります。
例)「それは大変でございましたね」(相手が落ち込んでいるとき)
「それを聞いて私も嬉しいです」(相手が喜んでいるとき) など
6.話を遮らない
疑問が湧き上がったり、発言したくなっても、相手の話を最後までしっかりと聴きます。自分が話すのはその後です。相手の話が終わらないうちに自分が話し始めたり、質問すると相手は「話を聴いてもらえていない」という不満を持ちます。
訊くスキル(質問のスキル)
お客さまの状況・ご要望を正確に知るためには、質問をして確認しなければわからないこともあります。思い込みで対応をしないためにも、お客さまの状況を知るために適切に質問をしましょう。
質問の仕方は大きく2つに分けられます。
「クローズド質問」と「オープン質問」です。
「クローズド質問」は答えが「はい」/「いいえ」になるような質問の仕方です。内容を限定しているため答えやすいのですが、答えも限定されるので、場合によっては決め付けている、問いつめられていると思われることもあります。
それに対し、「オープン質問」は相手に自由に話してもらう質問の仕方です。よって、回答には無数のバリエーションが期待されるので、ニーズなどを引き出したいときに使います。短い言葉で答えられない場合もあるため、いきなりだと答えにくい質問になることもあります。
相手のタイプによって使い分けること大切です。
例えば、自分から話しかけることが少ない物静かな方と応対する時は、「クローズド質問」から入りましょう。答えが2択なので、あまり相手に負担を感じさせることがありません。