トップ営業の「受注の秘訣」~顧客が求める"スピード対応"とは
営業担当の方は、「急いでいるので、早く対応してください」とよく言われるものです。単純に"レスポンスの早さ"を求められている場合もありますが、「すぐに見積書を持って行ったのに、受注できなかった」という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、お客さまが求める"スピード対応"ができるようになるために、弊社トップ営業が心がけていることをお伝えします。「いつも早く対応してもらえて助かります!」と喜ばれるよう、皆さまの日頃の営業活動の参考となれば幸いです。
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スピード対応とは「適格なジャブを打つ」こと
営業の仕事が、単なる「モノ売り」から顧客の課題解決に焦点を当てた「ソリューション営業」に変わってきています。多様な商品やサービス、それらに関する情報が溢れる現代において、お客さまが営業に期待するのは「自分で探すよりもっと早く、自社の抱える課題にマッチする解決策を見せてくれること」です。
お客さまによっては事前にネットなどを通じてある程度の情報を得ていることがあり、初回の訪問で「まずは当社の会社概要と商品パンフレットをご覧いただいて......」などと話を始めるのでは、「そこはもういいから」と遮られ、「対応が遅いな」という印象を与えることもあります。逆に「お客さまの課題に対してはこういった角度からのアプローチもあります」「他社のサービスを導入する前に、御社の現状を可視化できるアセスメントがあるので、まずそちらを実施されてはいかがでしょうか」など、一歩踏み込んだ具体的な提案ができると、「この営業さんは話が早いな!」と思ってもらえます。
今の時代に求められる営業のスピード対応とは、お客さまのニーズに対してムダ足を踏むことなく"適格な"ジャブを打つことです。まずはこのことを大前提として、以下に具体的な行動について説明します。
"商談前のアプローチ"が勝敗を分ける
お問合せからすぐに商談の日程が決まったとしても、それまで何もアプローチをしないのは、スピード対応の観点で考えると非常にもったいないことです。例えば、3分程度で聞ける情報は電話などで先にヒアリングしてしまいましょう。特に、スケジュール感は早めにすり合わせておかないと、こちらは商談の場で確認すればよいと思っていたのに、先方は具体的な納期の日程まで知りたいと思っていた、などといったズレが起きてしまいます。
事前にある程度情報を掴んでおけば、商談当日はよりお客さまの課題に合わせた深い提案や複合提案なども可能になり、より密度の濃い商談とすることができます。お会いする前に資料だけでも先に送っておくと、商談までに具体的な検討を進めておいていただける場合もあります。
また、商談までにお客さまから電話やメールがあったら迅速に対応することも重要です。しっかりとしたレスポンスを行うことでお客さまに寄り添っている感じが伝わり、営業に対して安心感を持っていただければ、手数は増えたとしても、結果的にお客さまと信頼関係を築くことができます。
私が心がけているのは、ヒアリングを通じて、「まだ情報収集の段階なのか」「ある程度候補は絞っているが懸念材料があり、それを払しょくできる話を聞きたいのか」といったお客さまの"意思決定のフェーズ"がどの段階であるかを素早く見極めることです。「御社のこの商品について話を聞きたい」と問合せがあり訪問したとしても、先方の状況を把握せず、こちらの情報を一方的に提供するだけと、結局「検討させていただきます」で逃げられてしまうことになりかねません。
また、お客さまの課題がまだフワッとしていて、真のニーズにたどり着けていないという場合もあります。そんな場合は、逆にこちらからそれを言語化するための問いを立て、その解決策となる情報を提示できれば、「そうそう、それが知りたかったんですよ!」とお客さまの納得感が一気に高まり、意思決定のスピードを速めていただけます。
意思決定の阻害要因を先回り思考で見つけておく
営業の仕事は、お客さまの意思決定をただ待っているだけでは始まりません。仮に阻害要因となるものがあるとしたら、こちらからそれを発見し、"潰しに行く"ぐらいの強い気持ちが必要です。商談に臨む際には、サービスの種類、品質、価格、納期など、相手が気にしそうなポイントを先回り思考で見つけておきましょう。商談の場で「今はまだちょっと決められないですね」と言われたとしても、その理由を聞き出し、迷いを晴らす提案をすることができます。
「こちらの資料で具体的なイメージをご確認いただけます」「1か月間無料でお試しいただけます」「他社と違って当社なら××日までに納品できます」といった風に、あたかも外堀を埋めるように情報を整理して提示できると、それがお客さまが決断をする「最後の一押し」となり、「そこまで考えてもらっているなら、あとは〇〇さんにお任せします」と言っていただけることも多いものです。
また、日頃から自分の担当顧客の状況を観察しておくことも重要です。特に注目しておきたいのは、顧客側の人間関係です。決裁権を持つ上司は誰か、その人が普段は部下に何でも仕事を任せるタイプか、自分の目で細かくチェックするタイプか、などを押さえておくと、「上司に見せてすんなり決裁がもらえるような提案書が必要だな」といった予測ができます。
場数を踏んで経験を積む
ここまでお伝えしてきたことは、私自身、営業になりたての頃から実践できていたわけでありません。お客さまの考えそうなことを先回り思考で予測できたり、自信を持ってお客さまをリードできるようになったりしたのは、ある程度営業としての経験を重ねてからでした。
なかなか受注に結び付かないと、「自分は営業に向いているのかな」と悩んでしまうかもしれませんが、まずは金額の多寡にかかわらず色々なタイプの担当者に会って、話を聞いていただきたいと思います。場数を踏んで経験を積むことで、相手の「早く対応して」が何を意味しているのか、だんだん分かるようになります。それと並行して、相手のニーズに応えるための引き出しとして、一人で顧客対応が完結できるくらいの業務知識や商品知識を持つほか、仮説思考力や顧客インサイトを探る力も重要です。
最後に、営業には体力も必要です!一日に何件も訪問するのに体力がいることは言うまでもありませんが、お客さまにとって何がベストなソリューションかとことん考え抜く頭脳労働だって結構疲れますよね。日頃から体力づくりや健康に気を遣い、よい結果につながることをお祈りしています!
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