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外国人オペレーターと共に働く(前編)言葉より文化が壁に?

目次

あなたのコールセンターにも「外国人オペレーター」が増えるかも?

各省庁主導による「インバウンド需要拡大推進事業」をはじめ、地域における訪日外国人消費の拡大に寄与する取り組みを支援する事業が盛り上がりをみせたところもあり、訪日外国人観光客が増加しています。

また近年は、人材不足が進み、外国人労働者の受入れも選択肢の一つとして積極的に進めていく必要がある状況下に日本が置かれていることも自明の理ではないでしょうか。これらの動きを受け、コールセンターでも多言語での対応が求められています。それに加え、コールセンター自体もまた、人材不足解消に向け、外国人オペレーターを増やしていく可能性は決して低くはないと考えられます。

では、外国人のオペレーターを雇用しているセンターのコミュニケーションでSV(スーパーバイザー)が意識しなければならない大切なことはあるでしょうか?

こんなに違う!コミュニケーションの文化

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールは、世界の文化を「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」の2つに分けました。単純に「使う言語」が違うだけでなく、コミュニケーションの傾向がそれぞれ違うのです。
※コンテクスト=英語で「文脈」の意

① ハイコンテクスト文化 ~察し合う文化
あいまいな表現で聞き手の理解力にゆだねる
日本は「お察しください。」という言葉があるくらい、相手の理解力に期待を持つハイコンテクスト文化

② ローコンテクスト文化 ~伝え合う文化
あいまいを許さず、話し手が責任を持って論理的に筋道を立てていくことを好む
自己主張がハッキリしている。相手に伝えたいことがあれば全て言語化し、話すことが良いとされる。

言語は翻訳アプリなどを使って訳したつもりでも、こういった文化の違いゆえ、気持ちに誤解が生まれたりします。

「よろしく頼むね」「なるべく早くして」あいまい表現は伝わらない

「机の上はきれいにね!」「報告はちゃんとしてください」など、あいまいな指示の出し方は、ローコンテクスト文化出身者にとっては何が言いたいのか伝わりません。日本人であっても、「きれいに」の基準は人によって違いますし、育児書には「ちゃんと」はしつけの際にわかりにくい言葉、と載っているくらいです。

「朝と退社時には進捗状況をメールで知らせて欲しい」「顧客とトラブルがあった際は架電終了後ただちに報告すること」など、具体的な指示をだしましょう。「伝えない」=意見を持たない人と見られます。「あいまいな指示」=指示がなかったと判断され、頼んだつもりがやっていなかった、という事態を招いてしまいます。

「これが常識」というあいまいな価値観・考えを明確に言語化することがポイント

「暗黙の了解で全員がやるもの」「常識で考えたらわかるだろう」というのは、我々ハイコンテクスト文化圏の考えです。「考えたらわかると思うけど、これだけはやらないよね?」などと判断せず、「No!」をしっかり伝えましょう。ローコンテクスト文化圏出身者は、「ダメって言われてないからやった」「やらなくていいって言われてないからやった」といった判断で動いてしまうこともあるのです。

絶対に勝手な判断で動いて欲しくない点があれば、丁寧に「伝える」必要があります。共通の知識や価値観に頼ることをやめ、相手に伝えたいことがあれば全て言語化し、話すことが求められるのです。

反面、ローコンテクスト文化出身者に対して、
「いちいちそこまで説明しなきゃできないのか」
といった印象を持ちがちですが、これは「文化の壁」と心得ることが必要です。

「外国人オペレーター」に学ぶこと

外国人オペレーターが「なぜ?」と思うところには必ず改善点があります。日本人が「言わなくてもわかるだろう」とお互いに遠慮し合って空気を読んで成り立ってきたことは通用しません。外国人と働きながら、「暗黙知」や「常識」をどう明確に説明するかを考えることは実はとても良いことなのです。

「昔からやっていたこと」が、実はあまり意味がないこと、実は無駄だったと気づく業務や仕事のプロセスが出てくることもあります。良い機会だととらえて、改善や見直しにつなげましょう。
彼らが快適に過ごせる環境を考える上で、自分たちも働きやすくなることがたくさんあるのです。

次回【外国人オペレーターと共に働く(中編)】では、時間感覚に現れる文化の壁についてお話しします。お楽しみに!

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