アサーティブ・コミュニケーションで注意を促す
今回は、「SV(スーパーバイザー、以下SV)がオペレーターに伝えにくいことを伝えるとき」を想定して、アサーティブに伝える方法を考えてみましょう。
- 目次
【ケース】終業時刻間際に電話を取らなくなるオペレーターに注意を促す
(例)(顧客から17時から電話がつながりにくいとクレームがあった)
SV「17時からの電話はなるべく多く取ってください」
オペレーター
「わかりました。できるだけ頑張ります(ムリだと思うけど、返事だけしておこう)」
「わかりました。取る本数を増やします(事務処理を後にして残業しろってこと?)」
「わかりました。(なるべく早口で取るしかない。ちょっと対応がおざなりになるけど仕方ないよね?)」
「わかりました」と言いながらもこんな様子は見られませんか?
・眉間のシワ
・目を合わせない
・早く話を終わらせようとしている
・体が斜めを向いている。せわしなく動いている
上記のように、話を聞いているオペレーターの表情や動作から、明らかに、納得していない様子がうかがえます。
相手の表情を見てどう感じたか
アサーティブ・コミュニケーションにおいて重要なことは、相手の気持ちも自分の気持ちも否定することなく、客観的に伝え合うことにあります。そのため、まずご自分の本音に向き合うことがとても重要なポイントです。
タイプ①:「明らかに嫌そうな顔しているな・・・残業になるのが嫌なのかな。「わかりました」と言っているけど、わかってくれてないだろうな・・・」
タイプ②:「終業時刻前に電話が混み合ってくるのは当然だろう!お客さまをお待たせするわけにはいかないんだ!常識で考えればわかるだろうはずなのに嫌な顔をして!」
オペレーターの反応に、条件反射的に感じてしまう自分の本音を、まずは否定することなく受け止めましょう。
自分の気持ちを整理してから相手に向き合う
上記タイプ①やタイプ②といった方は、心の声をしっかり聞くことで、自分の中の思い込みに気づくことができます。
例えばタイプ①は、相手の顔色を気にして、自分の感じたことを無かったことにする傾向があります。自分さえ我慢すれば、という姿勢がストレスを貯めることになり、ある日突然タイプ②になってしまったりします。
タイプ②は、自分の常識を他人にも押し付けています。また、自分の常識が善、自分の常識から外れている人は悪と定義しがちです。悪(常識から外れている人)に対して怒ることは正しい、と思い込みやすいこともあります。
このように、ひと手間かけて自分が何を感じているのか、そう感じるのは何故なのかをしっかり深掘りしましょう。アサーティブなコミュニケーションを考えるのはその後です。
注意する内容をアサーティブに考える
・どちらが良い・悪いということは決めつけず、相手の状況、背景や心情に思いを巡らせる。
「早く帰らないといけない事情があるのかな?」
「体調が悪いのかな?」相手の都合を想像したり、共感してみる。
・そのうえで、自分の考えや気持ちを過度に抑え込まず、率直に伝える。
「私は~と感じる」、「私は~だと思う」、「私は~したい」
「あなた」ではなく「私」を主語にして伝える(Iメッセージ)
注意を促す場面を数多く考えてみる
同じようなことを伝える状況を数多くストックし、自分がどんな風に感じる傾向があるか観察してみましょう。
タイプ①我慢タイプ 「私がこんなことをお願いしたら、相手は嫌な顔をするに違いない」
(自分でやるしかない)
タイプ②主張タイプ 「相手は私に間違いなく迷惑をかけている」
(だから、厳しく叱っても良い)
あなたの本音はどちらのケースが多いですか?
タイプ①が多い人は配慮しすぎて当人に伝わりにくいですし、タイプ②が多い人は自分の考え方を押し付けてしまい、避けられたり反発されるといった軋轢(あつれき)が生まれやすいものです。自分が感じた本音をそのまま伝えた場合と、アサーティブに考えて伝えた場合とではどんな違いがあるか、一覧表にして比較してみましょう。
まとめ
多くのケースを考えていくうちに、自分がどんな時に「アサーティブになれない」かが見えてきます。自分の中にある、「嫌われたくない思い」や「仕事とはこういうものという常識」が邪魔してはいませんか?
一度自分の気持ちをしっかりと大切に味わった上でなら、客観的にケースを眺めることができます。相手と自分の双方の気持ちを大切にすることが、アサーティブ・コミュニケーションです。伝えにくいことを相手に伝える手法として、ぜひ活用してみてください!