【事例で学ぶ】ご要望にお応えすることが物理的に難しかったら、どうする?
- 目次
今回の「あなたならどうする?」は......
インテリア雑貨を扱う店に、困った表情を浮かべたお客さまがお見えになりました。
「昨日、ここで買ったこの花瓶、よく見たら縁が欠けていて......。
明日、大切なお客さま方をお迎えするパーティーで飾りたいんです。今すぐ、取り替えてください!」とのこと。
しかし、その花瓶は店頭では品切れの商品で、さらにお取り寄せには最短2日はかかります。お客さまのパーティーには間に合いそうにありません。
――――ご要望に応えることが物理的に難しかったら、あなたならどうしますか?
こんな場合のクレーム対応のポイントは......
1.まずはお客さまのお困りに共感し、お詫びする
2.「できない」は即答しない
3.お客さまの要望に合わせた代替案を提示する
1. お客さまのお困りに共感し、お詫びする
たとえば今回のケースは、パーティーの準備が整わず、
さらに買った商品が壊れていたという「焦りと怒り」のお客さまの心境が想像できます。
まずは、お客さまの苦しみや悲しみに、「共感」し、お詫びをしましょう。
第一印象で「この人は親身になってくれそうだ」「頼りにできる人だ」という安心感を与えられると、
さらにスムーズにクレームを解決できるようになります。
▼お困りに共感し、お詫びするときは
・「そうでしたか...大切な花瓶でしたのに、こちらが破損に気がつけず、たいへん申し訳ございませんでした。今すぐに在庫を確認いたしますので、少々お待ちくださいませ。」
2. 「できない」は即答しない
お客さまのご要望に応えられなくても、即座に「できない」と宣言するのは、NGです。
「できない」を伝える際には「クッション言葉」をフル活用して、お客さまの心情を想像しながら、慎重に事実説明をします。
ただ「できない」と伝えるだけでなく、できる限りの「代替案」をあわせて提示できるとよいでしょう。
▼できない際にはクッション言葉をそえて
「お客さま、たいへん申し訳ございません。こちらの商品は現在、当店では在庫を切らしておりまして、調べたところ、お取り寄せにも最短で2日はかかってしまいます。ご期待に添えず、誠に申し訳ございません。」
「隣の〇〇県の△△店に、店頭在庫があるようです。すぐにご購入されるにはご足労いただかなければならないのですが、店に取り置きを申し伝えることもできます。いかがされますか?」
3. お客さまの要望に合わせた代替案を提示する
また、代替案の提示では、お客さまのご要望の背景を聞き出して、一緒に解決策を考える流れをつくることができるとよいでしょう。
「お客さまのご要望になるべくお応えしたい」という気持ちを見せることで、たとえ本意にそぐわない結果となっても、お客さまの気持ちを和らげることができます。
▼お客さまの要望を聞き出して解決策を考えるときは
「こちらとよく似た色かたちの花瓶がございます。試しに、ご覧になりますか?」
「(どのような花を飾りたいか伺ったあとで)なるほど、そのようなお花を飾るのでしたら、
こちらの花瓶もよく合うかもしれません。」
「要望がかなわなくても納得できる」対応を!
残念ながら、どうやってもお客さまのご要望にお応えできない場合はあります。
「一生懸命、自分のために動いてくれた。それなら仕方がないだろう」と納得いただける対応に努めることで、お客さまのご不満を最小限に留めることができます。
要望に応えられなくとも、お客さまの悩みに寄り添い、誠意を伝えることが、何よりも肝心なのです。
こんな態度や一言はNG!
●「ああ、それなら在庫は今ないです。取り寄せにも2日はかかりますね。申し訳ありません。」
●「お客さまがお運びになっている間に欠けた、という可能性はありませんか?」
●「困るとおっしゃいましても、当店としてできることはこれ以上ありませんので......」