Episode2.
法律を変えるときに声をかけてくれるようになった話
上海市の企業と出資をして合弁会社を創っていたことは先のとおりですが、それがあるとき、「投資会社なら外資100%を認める」というように法律が変わりました。
そこで私は「これだ!」と思い、1996年にソニーチャイナをつくりました。そのときできた企業は、ほとんどが「○○投資会社」という名前でした。しかしそれだと、投資事業しかできなくなってしまいます。私は大販売会社を創りたいという大きな目論見があったので、まずは社名について、「『投資』は入れない」「『投資』は入れない」と何度も認可するところへ言って伝え続けました。そうしたら、相手も根負けして、「じゃあいいよ」といってくれました。
・法律を変えるときに声をかけてくれるようになった話
そのときにいろんな投資会社ができました。「じゃあこれ、みんなで一緒にやれば、もう少し突破口が開けるよね」という話になりまして、私が代表で省庁にいって、以下のことを伝えました。
「これだけ投資会社ができてきて、これから諸々の法律も変わると思うけれども、どうしたら投資会社が満足できる投資ができるようになるか、その道筋を一緒に考えてくれ」。
そのときの担当者がこれまた仲が良かったので、快く聞き入れてくれ、彼らの委員会を開いてくれたんです。そこに、我々がお金を出して、参加させてもらうということができるようになりました。
中国は色々と市場経済化していっているときでした。社会主義的な考えでも駄目ですし、企業の自由度も少しずつ広げていこうという中で、我々は要望を出して、話を進めていったんです。最終的には、法律を変える前に、向こうから意見をきいてくれるようになりました。一大進歩だな、と思いました。
・できることがどんどん広がっていった
これをたたき台にして、何回も会議をやりました。そのうちに、「じゃあいいよ、投資会社の参画企業は物を自由に売っていいよ」→「ただしこういう条件つけるよ」→「輸入してもいいよ、だけどね・・・」というように、できることが徐々に広がっていったわけです。このような形で、外資企業が中国のなかで自由に動けるようになりました。
・人との付き合いと、アプローチが大事
これができたのも、やっぱり人との付き合いと、その人にどういうふうなアプローチをするか、ということだと思います。
1.はっきり自分の意見を持ち、恐れず、真剣に話をすること
2.できる・できないの判断を早く、明確にすること
3.根気良く話をしていくこと
4.絶対に怒らないこと
5.謝るときは謝ること
これらが、中国の人と付き合っていくポイントです。