第3部【02】
日本の本社から信用してもらう
私が中国で働くうちにわかったことは、「本社に頼りきったらダメなんだ!」ということです。本社に決断を仰ぐと、時間がかかってしまいますし、中国にいる相手から信用されない原因になります。
私のエピソードをお話します。当時、非常に敏感な問題に触れるようなミスが発覚しました。それが中国外のことだったので、後から中国の会社に知られたら大問題になるぞと思い、すぐに謝りに乗り込んで行ったんです。そうしたら、相手も怒ったのですが、大きな話にならずに済みました。まさかあっけらかんとして「こんな間違いをしてゴメンネ」と言ってくるやつがいるとは思わなかったんですね。
その後本社に報告したら、「どうしてそんなに早く対応してしまったのか」と叱られました。でも、本社に報告していたら、時間もかかってしまうし、逆にリークされて重大問題になってしまうかもしれません。リークされても問題にならないように、早く蓋をしておこう、という判断だったんです。
この場合、「政府のどの部署の、誰に話をしたら良いか?」という問題があります。これも、問題の本質を考えて自分で判断します。問題が起こったときに、その本質を見て判断をし、アクションに移す、このプロセスをいつもきちんと整備しておくことと、そのための人的パイプを持っておくことが大切です。
これから中国に出て行く方に言いたいのは、「緊急の場合、本社の判断を待つな」ということ。でもそのためには、本社から権限委譲してもらうことが大切です。本社からどれだけ信用してもらうか。だからその分、中国にいる人間は、本社に頼ろうとするのではなく、自分で考えて仕事をしなきゃだめなんです。