代表舟橋が語る、独自のWebマーケティング戦略② ~ナラティブマーケティングでインソースのファンを作る
【インタビュイー】
株式会社インソース代表取締役社長
舟橋 孝之
・2003年に株式会社インソースを設立
・顧客ゼロの状態からのスタートで、一時は1億円の負債をかかえたが、Webを活用したセールスの仕組みを作り、現在は年間約5,000件のお問い合わせを獲得。コロナ禍の1年を除き、20年連続増収を続けている
【インタビュアー】
株式会社インソース執行役員 グループ営業統括室 副室長 兼 メディア事業部 部長
小林 洋介
・2003年に株式会社インソースに入社
・入社時からメルマガやWebコンテンツ作成を担当。以降、コンテンツ開発や法人営業の部長も歴任
目次
Webには「カッコよさ」が必要
―Webマーケティングを行うにあたり、求められる情報を正直に公開する他には、何が重要だとお考えですか?
これからWebを使ってビジネスを強化していくための要点は、今の言葉で言えば「デザイン思考」だと思います。しかしそれは、顧客の視点から必要な情報が充分にあることが最優先になります。
もう一つは、先の意見と相反するかもしれませんが、いくら情報が欲しくても、やはりカッコよくないとお客さまは続かないです。そういう意味では、今のデザイン思考という言葉にかき消されているのが、美しさとかカッコよさなのかなと私は思います。
―インソースのWebはどうでしょう。
カッコよく思うかどうかは人それぞれでしょうが、我々なりにデザイナーやアニメーターを採用しながら、常に見る人にとっての楽しさや美しさも忘れずに強化しているところです。
実際、Webをきれいにすることで、顧客を誘引できると実感しています。
―社長がよく、「顧客がよく触れる情報に接しているか」ということを仰いますが、そういうことなのですね。
カスタマーが見ているもの、好感を持つものが取り入れられているかどうかが重要です。
たとえ、似たような情報だったとしても、相手によって表現の仕方を変えなければなりません。在庫や値段、利用者の評価がわかるのは当然としても、やはり「カッコいい」と思われないと選ばれません。
Webだけではなく、様々なメディアミックスでアプローチする
あともうひとつ重要なのは、Webだけで集客はできないということです。
メール、SNS、電話営業など複合的なツールを用いることが大事です。インソースに関しては電話営業を頑張るとWebのビューが上がります。たとえお客さまが営業担当者からのアポの打診を断っても、「今電話を掛けてきた会社はどんな会社なんだろう」って気になりますよね。
―私も営業の電話が掛かってきた会社のWebを、電話を切った後に確認します。
確かにSEOは大事なのですが、SEOにこだわってもビューは上がりません。
DM、メール、FAX、マス広告、様々なメディアミックスでアプローチする方が、Webだけで頑張るよりも結果が出やすいです。弊社では、電話営業との併用が最も効果が上がります。
特にB to Bの場合、我々の存在を認知してもらうというのが大事であって、Webだけで一気に売ろうと、一義的には考えないほうがいいですね。
存在を忘れずにいてもらうためにどうするかという観点で言うと、ナラティブマーケティング、つまり物語が共有できることが大事だと思います。
当社は創業期にメールマガジンをたくさん送っており、これが成功の一つの要因になりました。形のある商品を持たない我々がリレーションをつなぐために、お客さまが欲しがる情報を一生懸命流したのです。お客さまにとっては欲しい情報が得られる上に楽しい内容で送りましたので、インソースのファンが徐々に増えていきました。
インソースはコンテンツをお客さまにお伝えするところから成長
―当時は「メルマガスタンド」というWebページがあり、そこにビジネスマナーや営業のヒントなど、コンテンツを掲載していました。そして、それをお客さまに購読していただく仕組みでした。
内容的には情報提供が主体で、最後に少しセールスがある程度。合わせて週に一度、名刺を頂いたお客さまにも送信していました。それを思い返すと、インソースはコンテンツをお客さまにお伝えするところから成長してきたのかなと感じます。
そういう意味でも、リレーションシップマーケティングやナラティブマーケティングを行う際には、Webだけではない同時かつ複合的な設計をしていかないと集客できないんですよね。
メールマガジンをこまめに出すとか、長期のリレーションの中で認知していただくことが大事なのですが、それができてない会社が多いのかなと思います。
―当時のメルマガも、大変な割にはあまり反応がなくて「効果ないからやめませんか」と社長にご相談したことがありました。
そうしたら「やり続ける」と仰いました。毎週120のコンテンツが、Web上にどんどん蓄積されていって、それを続けることで大きな力を生んでいくのだと。
私は当時その意味が分かりませんでしたが、今思えばインターネットの世界の中に、インソースの情報がかなりの分量蓄えられていて、現在当社のWebが強いのも、そういう最初の下支えがあったからなのかなと思います。
ナラティブマーケティングでお客さまとの世界観を共有する
今改めて、ナラティブマーケティングを強化するべきだと思っています。
お客さまもコンテンツも非常に数が多いので、One to Oneで、いかに欲しい情報を整理していくか。テクノロジーの出番にはなると思いますが、その辺りが次の攻めになってくるでしょうね。
―そうですね。コンセプトが気に入って車を買うのと同じように、インソースの考え方や研修の特徴、そういった良さを徐々に理解してもらうということですね。
お客さまとの世界観を共有していくことは大切です。
世の中というのはとても広いです。マスコミュニケーションが発達したので、世界みんな同じと思うかもしれませんが、東京で売れているものが名古屋で最適かというと、そうではなかったりします。
また、会社ごとの違いを知ることも大事です。
各社エンジンの形式や年式が違って、昭和30年のエンジンで動いている会社もあれば、2020年型の会社もある。それなのに、自分の会社がどんなエンジンで動いているのか、意外とみんな知りません。そして我々は、そのエンジンに合わせたサービスを提供していかないと、お客さまにとってプラスにはなりません。
これはあらゆる産業に共通すると思いますが、同じ時代、同じ地域で生きていると思わない方が良いですね。