「当たり前なコトが通用しない」ために、周囲から浮いた存在、「職場孤立者」になってしまっている人、と聞いて具体的に誰かを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。もちろん「当たり前の基準」は時代とともに変化するものですが、彼らを「今の時代だから...」「あとあとで色々と面倒だから...」と放置してしまうことは得策ではありません。こういった「職場孤立者」は無自覚でいることが多く、放置された途端に周りの人びとのモチベーションをも下げてしまいかねません。というのも、「○○さんでも許される」という意識が職場内に蔓延してしまい、いつしかマネジメントが効かなくなる状態に陥る危険性があるからです。
職場孤立者の特徴として、
無意味と思える時間浪費(残業)を繰り返す
自分で考えないで常に"口を開けて"上からの指示を待っている
自分は何もしないが、事あるごとに職場への不満を口にする
他責に終始し、自責の意識もなく役割意識が欠如している
周囲と協調性がなく、義務と権利を履き違えた言動や行為を繰り返す
などを挙げることができます。一方で、こうした現象は時として職場内の誰にでも現われうるものです。もし、このような現象が職場内に現れていると感じたならば、単に目先の「職場孤立者」への対処に終わらせず、職場全体の体質改善を行うシグナルであると捉える必要があります。
「職場孤立者」は自分のどこが「悪いか」「なぜいけないのか」を自覚していないケースが多く、「本人が自律的に自分をコントロールすることが出来ていない」ことが一番の原因として挙げられます。 一方で、人員が過剰になっても簡単に解雇できない現状や、職場での新人若手の育成不足により人材が育ちにくい状況も、「職場孤立者」を生み出す原因として考えられます。職場ヒアリング等を通して、「職場孤立者」が発生する遠因を突き止め、職場全体の意識改革を行っていくことが必要です。その際、職場内の上席者が実施すると、上席者の情意や心理的圧迫感、また、対象者の甘えや妬み、嫉み、恨み、僻みを誘発してしまう可能性があるため、第三者がヒアリングすることがポイントです。
「職場孤立者」現象の発生状況や中心的「職場孤立者」のイメージ、職場が抱える課題・問題点の整理。場合によっては特定した個人の素行を確認。
ヒアリングレポートを作成し、体質改善に向けて着手すべき課題の整理と仕分け。
職場体質改善案に基づいた組織環境整備(採用、育成・教育、適正配置、制度改革など)や労務対応などに優先順位付け。
※例えば研修実施を優先するのであれば、マネジメント研修をはじめとする階層別研修なのか、テーマ別ないし個人別のスキルアップ研修なのか...など。また、「評価制度」の整備が最優先であるならば、まずは導入に向けて課題整理。
ヒアリングレポートの作成と個別対策の策定。
スケジュールの策定
株式会社ノイエ・ファーネ 代表取締役
1954年生まれ。大学在学中より出版・編集業務に携わり、主に労働経済関係をフィールドとし取材・執筆、編集業務に携わる。1992年から中小企業経営者向け経営専門誌の編集および、教育・研修ツール(冊子媒体、ビデオテープ)等の作成、人材の教育・育成に関する各種オープンセミナー・インハウスセミナー企画の立案・実施、人材開発事業・人事コンサルティング業務に従事。
2010年11月に『人と企業組織が互いに「広い視野」「柔軟な思考」「健全な判断」に基づいて行動し、最適な働きの場を創り出していく協働に貢献する』を使命とする株式会社ノイエ・ファーネを設立。
なお、この[職場での個別ヒアリングを中心とした職場体質改善の手順]は、1以外は必ずしも順序通りである必要はありません。
ただし、すぐに5を実施する場合でも、一度は「職場孤立者」を含め「これから職場で求められる働き方、仕事の仕方」をテーマとした全体研修を実施することが、本質的な職場体質改善に効果的です。