若手向け研修と離職防止について~アンケート調査の結果より
当社では毎年春の新人研修の振り返りをもとに、次年度の新人研修についての検討を行っております。2025年春は近年の組織課題の一つである従業員の離職防止に役立つ研修サービスの開発と若手教育の充実に役立つ新作研修を企画していました。その一環で、企業・組織での若手社員の現状や離職防止策などをテーマに、アンケート調査を実施いたしました。
各企業・組織が2、3年目の若手に期待する姿や指導側への教育の必要性、離職防止の取り組みなどについてお尋ねしました。
2024年5月に企業・組織の人事・教育担当者向け実施したアンケート調査の結果から一部抜粋してご紹介いたします。
※2024年4月25日~5月15日にWEBアンケートにて実施、回答企業数35社
- 目次
2年目への期待は積極性・主体性
人事担当者からの2年目への期待は「積極性」「主体性」が多くあがっています。「失敗してもよいから積極的に行動してほしい」という意味合いでの記述が多かったのが特徴的です。「一人で業務ができる、ホウレンソウを的確にできる」など一年目の経験を生かして業務に臨んでほしいという意見も多くありました。
企業の人事担当の方へのアンケートと別に、当社が研修時に実施する受講者への事前課題の分析や、当社若手社員へのヒアリングも実施したところ、若手社員に人事が求める2年目像と若手社員の意見に共通するキーワードとして、「まだ失敗できる」「チャレンジ」がありました。
【設問】仕事での行動、振る舞いで社会人2年目に求めること(仕事の進め方、姿勢、スキル等)、このくらいできていてほしいという期待をご自由に記述ください。
(自由記述を当社にて分類/単位:件)
2年目研修の事前課題・当社若手社員ヒアリング結果の抜粋(若手社員の意見)
<2年目の自分を振り返って思うこと>
- ・2年目のときには長期的な視点、組織的な視点がなかった
- ・行動の何が良くて何が悪いのか、自信が無かった
- ・会社の基礎、暗黙知を知りたかった
- ・チャレンジしておけばよかった、失敗しておいたほうがよい
- ・社内外問わず色々な大人と話す(相談しやすい環境を作る)
- ・これまでは与えられた仕事だったが、今後は自発的に動く必要がある
- ・キャリアが不安
<具体的に知りたかったこと、知りたいこと>
- ・数字の管理
- ・交渉力
- ・タスク管理、優先順位付け
- ・会社の方針と顧客の要望のすり合わせ
- ・業務報告の仕方(上司の意図のくみ取り方、重要度の見極め方)
- ・文章の書き方、わかりやすいメール
- ・上司の指示と考えが異なるときの伝え方
3年目では若手への組織の期待値が大きくあがる
3年目になると、「自分より年次の下のメンバーを指導できるようになってほしい」、「組織にとって重要な人であることを自覚してほしい」という意見が多くなる傾向にあります。
3年くらいでジョブローテーションを行う組織も多く、3年間で十分に一人前として仕事をできていてほしいという組織の期待の表れと言えます。
また、3年目では後輩指導を任せられるなど、自分が先輩であることを自覚することも増えていきます。一方で、若手社員自身は仕事が増えてうまく回せないなど、期待とともに仕事量が増えることによる悩みが多く聞かれました。
【設問】仕事での行動、振る舞いで社会人3年目に求めること(仕事の進め方、姿勢、スキル等)、このくらいできていてほしいという期待をご自由に記述ください。 (自由記述を当社にて分類/単位:件)
3年目研修の事前課題・当社若手社員ヒアリング結果の抜粋(若手社員の意見)
<3年目の自分を振り返って思うこと>
- ・自分の仕事と同時進行で、後輩の指導をする必要があるが、マルチタスクがうまくできない
- ・3年目という立場でどのくらい上司を頼って行動するべきか迷うことが多い
- ・自身の未熟さも感じながらの後輩指導で、どのように後輩に接するのがベストなのか悩んだ
<大変だったこと>
- ・タイムマネジメント(任せられる量が増えた)
- ・顧客対応の優先順位付け
- ・忙しい上司への相談力
- ・後輩指導
- ・暗黙知(1年目と違い、3年目では細かく教えてもらえず大きな失敗をしてしまうこともある。)
- ・部署内で役に立てることの模索
- ・自分ができること、すべきこと、上司を頼るべきことの判断
- ・キャリアをどうしていくか
- ・役員など役職が高い方と会う機会増えたので、関わる際のマナー
- ・目の前のことをミスなくこなすだけではなく、結果が求められる
- ・自分の仕事が、周りにどういう影響を与えるのかを考えないといけない
職場定着や離職防止への策はコミュニケーションが多い
メンターや面談などでのフォローや、同期を含めメンバー間、社員間での交流の機会を増やす施策が多くあがっていました。新人研修を中心に研修の機会を使って、同世代が集まる機会をつくっているという回答も見られます。
【設問】近年、新人・若手の職場への定着化や離職防止のお悩みを多く聞きます。貴社・貴組織で離職防止の対策として実施されているものがあればお教えください。
(以下、アンケート回答からの一部抜粋)
- ・メンター制度
- ・1on1面談の実施
- ・フィードバックの充実
- ・管理職への研修、ハラスメント対策等
- ・従業員同士で感謝のメッセージを贈り合う掲示板設置
- ・懇親会、レクリエーションの開催
- ・同期の間での一体感を持たせる研修、同年代の交流会
アンケートを参考に開発した新作研修
<若手向け>
■社会人2年目のビジネス基礎研修~ひとりだちの意識を持ち後輩の見本になる(1日間)
指示待ちを脱却し、能動的に行動できる「業務のプロフェッショナル」を目指す
■社会人3年目のビジネス基礎研修(1日間)
「リーダーになる準備」として仕事をレベルアップさせ、組織に貢献する
<上司向け>
■部下指導アップデート研修~若手部下との距離感をつかむ(1日間)
若手のリアルな声をきき、指導者側が考え方、行動を変えることで適切な指導ができるようになる