社会に対する強い気持ちを内に秘める新入社員
いよいよ新入社員研修が始まりました。インソースでは、この4月、延べ18,000名の新入社員の皆様をお迎えして新人研修を実施しております。ここまで実施した研修の様子から、2011年度新入社員の皆様の傾向や特徴が見えてきましたので、いち早く皆様にお伝えいたします。ぜひご覧いただき今後の新入社員研修・育成の参考にしてください!
※具体的な事例やコメントはこちらをご覧ください。
■強い意志を内に秘めている
まず、例年になく「働く意欲が高い」ということがいえます。特に「社会への貢献」に意識が向いています。「働くことを通して他人の役に立ちたい」「チームで仕事を進める」「他者との絆を大切にしよう」という言葉が良く出され、共感する傾向があります。ただ、それが自発的に表に出てこないことが課題といえます。
■(隠れて)物事の本質を捉えている
能力面では、ここ数年でもっとも高いように思われます。物事の本質を捉えたうえで、自分で自由に考える力があります。瑣末な質問は例年よりも少なく、比較的良い質問を講師に投げかけます。一方、その質問は休憩時間にタイミングを合わせてするもので、積極的に手を挙げての質問ではありません。配属後、仕事を与えた場合、何時間も考え続けて仕事が進まないことが予想されます。
■「選ばれた精鋭」というイメージはない
就職氷河期をくぐってきた「選ばれた精鋭」というイメージで職場に迎え入れようと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、それを考えると物足りなさを感じるかもしれません。新人特有の「熱さ」や若さは見られず目立つ人がいませんし、思考の具体化や議論が苦手な傾向があります。
■「売上」ではなく「貢献・奉仕」を意識する
また、自分のミッションを「売上」ではなく「貢献・奉仕」においている人が多い点に特徴があります。企業で働く者として違和感を持つ皆様もいらっしゃるかもしれませんが、これはおそらく、知識がないことと価値観が違うことが原因です。それを踏まえて接していけば、ぐんぐん伸びていける素質を持っていると思われます。
【こぼれ話】「アンケート」で急に評価者になる?
一方、一部で見られたのが、上から目線に感じられる受講後アンケートです。これが例年の5倍ほどの勢いで見られました。具体的に言うと「必要ないと思う」「関係ないのではないか」「教え方の工夫が足りない」等のコメントです。研修の場で「ありがとうございました!」と素直に喜んでくれる新入社員の皆様は、「アンケート」というキーワードで途端に上から目線の評価者になるようです。
M講師は、用紙を配る際に「『アンケート』といっても、皆さんは評価するわけじゃないですよ」と一言付け加えているそうです。この傾向を感じていらっしゃる方は、アンケートの言葉や取り方を工夫してみると良いかもしれません。
この新入社員をどのように育てるのか、方向性をよく考える必要があります。それにより、育成方法も変わりますし、今後の活躍が決まってきます。現在、インソースでは2種類の方向性があると考えています。
ボトムアップ‐具体的な行動を教える
■用語をすでに知っている
新入社員全体の能力を引き上げていくのであれば、細かいところを抑える必要があります。新入社員は就職氷河期だったことが影響してか、用語をよく知っている傾向があります。「報・連・相」や「PDCA」など、講師が説明する前からよく知っているのです。
■具体的な動き方を知らない
しかしながら、それが具体的にどういう行動なのか、を理解できていない傾向があります。当社のケーススタディでそれを学ぶと、「具体的な行動がわかって良かったです」と晴れやかな表情を浮かべるほどです。わかりやすいワークを盛り込むなど、腑に落ちる教え方や研修の作り方をすることが大切です。
未来のリーダーを育てる‐長期的な育成計画を立て確実に推し進める
■判断力・行動力のあるリーダーが求められている
リーマンショック、東日本大震災に伴う諸問題の発生など、組織を取り巻く外部環境はかつてない程に激変しています。生産活動の停滞、消費の減退、情報獲得手段の変化(よりネット主導へ)など大きな変化が同時に発生しているなか、求められているのは、批判・失敗をおそれず判断でき、変化を率先できる強いリーダーです。自ら考え、動ける人材が求められているのです。
■社会を良くしたい気持ち
今年の新入社員は「社会を良くしよう」という強い意志があります。未来のよきリーダーになる素質を備えているように思われます。
■長期的な育成計画とその実践が重要
そのためには、今の気持ちをムダにさせない育て方が必要です。短期的ではなく、長期的な視点でしっかりとした育成計画を立て、それを確実に推し進めることが必要なのです。
■早期から一つ上の視野を持たせる
併せて早くから一歩上の視野を持たせると良いでしょう。業務改善活動やリーダーシップの要素を取り入れておくことも効果があります。すべて各自が腑に落ちる形で物事の意味を伝えながら、PDCAを徹底させると、期待に応えてくれるはずです。場合によっては例年よりも厳しく育てても良いかもしれません。
【該当の新人フォロー研修 2011年度版】
【該当のOJT研修】※現在作成中
社会に対する強い意志を秘めているのが今年の新入社員の特徴です。育て方によっては、ぐんぐん伸びていってくれるでしょう。中堅社員やリーダーに追いつき、組織全体の停滞感があればそれを吹き飛ばしてくれるかもしれません。皆様にはぜひ、「昨年と同じ」ではなく、今年の新入社員に合った育成方法・研修をお考えいただきたいと思います。
(以下に、具体的な事例を掲載しております。↓ )
意識面 社会への強い思いを内に秘める
■「自分たちが日本を守っていく」
・「皆さんに求められるものは何ですか?」という研修中の問いに対し、「今までは社会に守られる立場だったけど、自分たちが日本の社会を守っていくんだ」「社会の発展に貢献していくんだ」という意見が多く出ました。これは、ここ数年ではなかった傾向です。(F講師・H講師)
・特に「自立とは何か?」という質問に対し「周囲に迷惑をかけないこと」「お客様だけではなく地域の住民にも貢献できる仕事ができること」といった他者を意識した発言が初めて聞かれました(例年であれば「経済的な自立」「一人で仕事ができる」「一人前になること」といった自分目線での発言が多いです)。(S講師)
【受講後アンケートより】
大変な(時期の)入社にも関わらず、私たちに研修があること、そして研修をするにあたって多くの人が動いているということを忘れずに頑張っていきたいです。貴重なお時間を私たちのために、本日はありがとうございました。(旅行業界・ビジネス基礎研修)
■「チームワーク」に大きな共感
「チームワークが大事」「人と人とのつながり」「絆」「相手の気持ちに立って」という言葉に深く共感してうなずく人が多く見られました。例えば、チームワークの話をするときに、「相手からバトンを受け取るときに、受け取り方も大事だし、相手の受け取りやすいバトンを渡すことも大事ですよね。お互いに相手へのいたわりや気遣いを持つことも大切ですね」という話をしたところ、もっとも反応があり「印象に残った」というコメントも多く挙げられました。(W講師・H講師)
【受講後アンケートより】
講師の方の話とその後のケーススタディのバランスが取れており、とても理解しやすかったです。特にケーススタディでは実際にあり得る状況が設定されていたため、即、職場で活かせるのではと感じました。仕事は単発ではなく一連の作業でもあると思うので常にホウレンソウを意識して取り組んでいきたいです。(自治体・ビジネス基礎研修)
■誰かの役に立ちたい(求められるなら・・・)
ここ近年の傾向通り、積極性は人によって大きくばらつきがあるようです。特に気になるのは、「グループで出た意見を発表してください」といったときにほとんど手が挙がらないことです。でも「ここで発表することはこの研修への『貢献』なんです」ということを伝えると、必ず手が挙がります。一方で、まったく逆で元気に手を挙げる方もいますが、空回りする傾向があります。皆を楽しませようとしているのかもしれません。(H講師・W講師)
■「働く」ことに対する大きな意欲
これまではグループワークでの発言から、「働かなくてはならない」という気持ちが感じられましたが、今年は「働けるってありがたい!」という気持ちがひしひしと伝わってきました。(S講師)
【受講後アンケートより】
この2日間で学んだことを糧に、この先(40数年)頑張っていきたいと思います。僕は「学生第一」をモットーに仕事をしていきたいと思います。(大学法人・ビジネス基礎研修)
能力面 素直に課題に取り組める
■本質を捉える力がある
・「いい質問!」と言いたくなるような質問が多く出されました。逆に、ここ数年見られた「瑣末な質問」が少ないように思われます。例えば、相手の気持ちを考えて行動する、という仕事の進め方を説明するために、「上司の気持ち」を紹介したところ、次のグループワークでは「上司がこう考えているんだったら、もっと相談した方がいいね。もっとこういう報告をした方がいいね」という意見が出されました。(H講師)
・グループワークでもそれは発揮されました。例えば、来客応対のグループワークでは、机や椅子を動かして簡易的に応接室の状況を作るということをします。ここで混乱するのが例年ですが、今年は、「そういうワークなら、机をこう動かせばいいね」というのがすぐに理解でき、動いてくれました。(W講師)
・グループワークをすると、幅広い視点での意見交換ができていました。設問の言葉1つに捉われたり、質問を勘違いすることなく、やるべきことを適確に捉えた自由な発想で取り組めていました。(N講師)
【受講後アンケートより】
・知識として覚えることも多く、本日の内容は完全にマスターしたとは、到底言えないというところが正直な感想です。昨日までとの最大の違いは、相手が目に見えない状態でコミュニケーションをしなければならない(こともある)というところであり、今後も数多くの経験を積んで自分の力を高めていく必要性を感じます。(公開講座・ビジネス文書研修)
・社会人として当たり前のことばかりだと思いますが、実際に意識が薄くなり、自分を甘やかしてしまう事もあると思います。しかし、この研修を思い出し、当たり前を当たり前に出来る大人になります。(公開講座・ビジネスマナー研修)
・「付加価値をつける」という点が一貫していて、大変分かり易く勉強になりました。早く即戦力となれるような一人前の存在になりたいです。そのためにも、日々謙虚な姿勢を忘れず学ばせて頂きたいと思います。(鉄道業界・ビジネス基礎)
■難しい課題でも素直に頑張ってみることができる
・「ビジネス文書研修」では、時間内に文書を作成するというワークがあります。これを少し短めの時間で皆さんに課してみました。そうしたところ、最初から諦めたり、設問のせいにしたりすることなく、「とりあえず頑張ってみよう」と取り組む傾向がありました。(一方で、時間内に終わらない場合、「どうしよう......!」とあせる気持ちもありませんでした......。)(N講師)
・例年であれば、難しい課題があると考えることを放棄し、退屈そうにする受講者もいらっしゃいますが、今年は一人も見られなかったのが印象的でした。学んだ内容を具体的にどのように活かすか?どうすれば早く上司や先輩の役に立てるか?を各自じっくりと考えながら受講していた様子でした。(S講師)
■「マナー」や「報・連・相」をすでによく知っている
例年よりも、すでにビジネスマナーや「報・連・相」をよく知っており、進行がスムーズでした。電話応対のロールプレイングは、最初からよくできる方が多くいらっしゃいました。講師が新入社員の方に「どうして(そのマナーを)知っているんですか?」と聞いてみたところ、「学生のときから知っていました。自分で調べて知っていました」と答えたそうです。(Y講師・S講師・W講師)
【受講後アンケートより】
・知識として知ってはいたけれど、実践になると難しいものも沢山あった。軽い実技も含めながらの講義だったので、すごくわかりやすかった。(製造業・ビジネスマナー研修)
・社会人としてのルールやマナー、考え方や覚悟等、大変参考になりました。PDCAサイクルやホウレンソウなど、言葉や意味は知っていても、実際に行う際のアドバイスを頂くことができぜひ今後に活かしていきたいと感じました(鉄道業界・ビジネス基礎)
■頭で理解したことを実践できる
1人を褒めたり、1人を注意するだけで、何も言わなくても自分も行動を改める傾向があります。例えば今年の「新人フォロー研修」では、グループワークで「研修は仕事の一環」と発言していても、講師の前でだらりとした座り方をする人もいました。このように、理解と行動が伴わない例は多数見られましたが、今年は少ないように思われます。(W講師)
【受講後アンケートより】
講師の方の「学んだことを実際にできる」に変えることが重要だ、という言葉が響きました。本日学んだことは全てが新しいものではなかったのですが、まだ行動として移せていない点が多いと体感しました。(公開講座・ビジネスマナー)
さて、ここまで2011年度新入社員の傾向をお伝えしてきました。皆様の会社の新入社員の皆様はいかがでしょうか?インソースは、お客様に合わせ、一社一社丁寧に研修をご提供しております。また研修の実施準備も柔軟であり、 大変ご好評いただいております。今後の皆様の新人育成をぜひお手伝いさせてくださいませ。皆様からのお声掛けをお待ちしております。