近時、役員のインセンティブ報酬のあり方に注目が集まっています。コーポレートガバナンス・コードでも、「経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである」(補充原則 4-2①)とされており、中長期的な企業価値の向上に対する株主と経営陣の利害の一致を図るためのガバナンスの施策として、役員報酬の設計が重要視されています。
直近では、平成 29 年度税制改正大綱の内容が明らかになり、役員報酬税制についても、一定の退職給与や新株予約権が役員報酬税制に取り込まれることとなったほか、利益連動給与の要件の柔軟化など、大きな変更が加えられることになり、実務への影響は大きいものと思われます。
平成 28 年度税制改正により、自社株報酬としての譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)の導入が促進されるなど、役員報酬の選択肢は豊富になっていますが、役員報酬を設計する上では、法務・税務上の取扱いを統一的に検討することが不可欠です。
いかに役員のインセンティブに資するとしても、法的安定性に欠ける、あるいは、会社や役員に対して課税上の不利益が生じるリスクがあるというのでは、中長期的な企業価値向上という最終目的を達成することはできません。
そこで、本セミナーでは、平成 29 年度税制改正の方向性を踏まえたインセンティブ報酬の全体像や役員報酬設計に関する税務上の基礎的なポイントも解説した上、法務と税務を統合した視点でメリット・デメリットを検証し、インセンティブ報酬設計の実務上の留意点の最新動向について解説いたします。