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情報リテラシーが将来のキャリアを左右します。

今回のテーマは「情報Ⅰが共通必履修科目となったことによる影響」についてです。

2022年4月より、新しく「情報Ⅰ」が高校の必履修科目として追加されましたが、「私は社会人だから関係ない」と考えていませんか?
当記事で「情報Ⅰの必履修化」が決して学生だけに影響しているものではない理由と、その変化に対応するために何をすべきなのかを知っていただければと思います。

(約10分で読めます)

~~~~~~~~~目次~~~~~~~~~
1、情報Ⅰ必履修化の背景
2、学生にとっての3つの変化
(1)試験科目に追加される
(2)キャリアの選択肢が広がる
(3)他の教科との相乗効果が得られる
3、社会人にとっての3つの変化
(1)情報Ⅰ未履修の人が取り残される
(2)採用・評価基準が変化する
(3)顧客のニーズが変化する
4、これからの社会の変化に対応する方法
5、おわりに
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1、情報Ⅰ必履修化の背景

20世紀後半からはSociety4.0という情報社会だと言われています。
「ものを買う」という行為一つとっても、以前はお店に足を運んで商品を探さなければなりませんでした。 しかし、今ではオンラインショッピングによって自宅から簡単に購入することができます。
このように、コンピュータやインターネットが登場した結果、情報化、グローバル化が進み、様々なものが複雑化していきました。

そして今後はSociety5.0と呼ばれる新たな時代が到来すると言われています。
この時代には、これまで人の手で行われてきた業務が、AIやIoTによって次第に代替されることが予測されています。
最近では、企業が自社のホームページにチャットボットを導入することで、カスタマーサポート業務の負担を軽減する事例が増えてきています。
それ以外にも自動運転など、人が判断、操作する業務がAIに置き換わっていくことが期待されています。
しかしながら、もし安全な自動運転技術ができてしまったら、ドライバーの仕事がなくなります。

このようにAIやIoTが様々な問題を解決することで便利な世の中になる一方、それらによって仕事を奪われる人も出てくると言われています。

そんな新時代に対応するため、2022年4月より新しい学習指導要領が始まり、「情報Ⅰ」が高校の必履修科目として追加されました。
これは、必要になる能力・資質を学生のうちから身につけ、備えていくことを目的としています。
令和5年度に北海道で行われた調査によると、2030年頃に道内の高等教育機関におけるデジタル人材輩出人数が2023年と比較して、約4.6倍になる見込みとのことです。

出所:経済産業省
「令和 5 年度地域デジタル人材育成・確保推進事業
(北海道内企業におけるデジタル人材のニーズ等に係る調査事業)報告書」
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2023FY/000008.pdf
(最終アクセス:2024年9月9日)


2、学生にとっての3つの変化

(1)試験科目に追加される
2025年度の大学入試から、「情報Ⅰ」が「大学入学共通テスト」や一部大学の入試でも出題される予定となっています。

「大学入学共通テスト」の配点は以下の通りです。

教科国語数学英語理科地理歴史公民情報Ⅰ
配点 200点 200点 200点 200点 200点 100点
構成比 18.2% 18.2% 18.2% 18.2% 18.2% 9.1%

(※構成比は小数第2位を四捨五入)

大学によって配点が変動しますが、「理科」「地理歴史公民」は1科目100点なので、「情報Ⅰ」も同じくらい大事だと言えます。

文部科学省によると、「情報Ⅰ」は大きく4つの章に分かれています。
第1章 情報社会の問題解決
第2章 コミュニケーションと情報デザイン
第3章 コンピュータとプログラミング
第4章 情報通信ネットワークとデータの活用
出所:文部科学省
「高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416756.htm
(最終アクセス:2024年9月9日)


「情報Ⅰ」の教科書では「Python」「JavaScript」「VBA」「Scratch」という4つの プログラミング言語が登場します。
「情報Ⅰ」では、どのプログラミング言語でも共通する考え方を学びますが、教員向けの解説では「Python」が使用されています。
その理由は、「Python」が実用性と学習のしやすさのバランスに優れている言語だからだと考えられます。

(2)キャリアの選択肢が広がる
プログラミングスキルを身につけることで、エンジニア系の仕事が選択肢に入ります。
それだけでなく、特にエンジニアと関わることが多い仕事において、プログラミングスキルがあることは強みになります。
例えばエンジニアに何かを作ってもらうとき、「このプログラムだとエラーになってしまうかもしれない」と気づき、エラーを事前に回避できる可能性があります。
また、バグ(ミス)が見つかった際、エンジニアが書くコードを予想し、狙ってエラーを発生させることで素早く原因を特定できます。

このように、プログラミングができるメンバーが社内に増えるほど、エラー対応にかかる時間を減らせるので、重宝されます。
今後もデジタル化が進んでいくと予想されるので、非エンジニアもプログラミングスキルを身につけた方が良いでしょう。

(3)他の教科との相乗効果が得られる
デジタル技術の進歩に呼応するように、学校でも「ICT教育」が導入され、コンピュータでしかできないことを授業に取り入れていくように変化しています。
例えば数学や理科における「グラフをその場で作って動きを見る」、「何千、何万回の実験をする」、芸術分野における「デジタルアート制作」、「デジタル作曲」などが挙げられます。
学生が気軽に実験、分析、創作活動などができるようになり、学習の幅が広がりました。
そして生成AIが登場した今、より一層、学習が多様化していくでしょう。


3、社会人にとっての3つの変化

(1)情報Ⅰ未履修の人が取り残される
情報Ⅰを履修した新入社員は、プログラミングスキルや情報リテラシーを身につけています。
その結果、今以上に社内でDX化や業務自動化が進んでいくことが予想されます。

知識不足のままだと、「社内で便利なツールができたのに使いこなせない」「簡単なエラーですら直せない」といった状況になってしまいます。
また、部下・後輩の方が詳しいため、本来ならば指導する立場の上司・先輩が教わるということも十分あり得ます。

(2)採用・評価基準が変化する
今後必要なプログラミングスキルや情報リテラシーの基準が高くなり、それらを持っていないと転職、昇格に不利になる可能性があります。
自身の市場価値を上げるためにも、仕事の幅を増やすためにもそれらを身につけた方が良いと言えます。

(3)顧客のニーズが変化する
デジタルリテラシーが高まると、顧客はより高度なデジタルツールやサービスを使いこなすようになります。
その結果、自身に最適化されたサービスや商品を求めるようになり、企業もその声に応えるためデジタル化が進んでいく必要があります。


4、これからの社会の変化に対応する方法

情報Ⅰが必履修化されることは大きな変化であり、決して他人事ではないということをご理解いただけたと思います。
それでは、実際にプログラミングスキルや情報リテラシーをどのように身につけていけばよいのでしょうか。

最も効果的かつ効率的な方法は、経験豊富な人から学ぶことです。

そしてプログラミングを学ぶのであれば、プログラミング言語の中でも簡単で、かつさまざまな業務を効率化できる「Python」が適しています。
共通テスト用プログラム表記(DNCL)のベースにPythonが使われているので、学習がそのまま受験対策にもつながります。

「Python」をこれから学ぶ方向けに、実際の業務を効率化する方法も学ぶことに特化した講座をご用意しました。

・(高校生向け)親子で学ぶPythonプログラミング研修入門編(3日間)
  https://www.insource.co.jp/bup/python-excel.html

・Python学院~Excel操作自動化編(1日間)
   https://www.insource.co.jp/bup/python-excel.html

・Python学院~スクレイピング編/Webからの情報収集を自動化する(1日間)
   https://www.insource.co.jp/bup/python-scraping.html


「いきなりプログラミングは難しい」と感じる方には、まずは生成AIを触ってみることをおすすめします。
生成AIを使ったことがない方は是非一度試してみてください。

■生成AIを触ってみたいけど、何から始めたらいいのかわからない方には以下の研修がおすすめです。
・(半日研修)ChatGPTのはじめ方研修~触って学び、明日の業務を効率化する
   https://www.insource.co.jp/bup/bup-conversational-ai.html

・(半日研修)ChatGPT理解研修~導入事例やリスクを知り、組織での活用方法を検討する
   https://www.insource.co.jp/bup/bup_conversational_ai_outline.html

■ChatGPTを使ったことがあり、自身の業務を効率化したい方は以下の研修がおすすめです。
・ChatGPT×Pythonプログラミング研修~自動化・データ分析編(5日間)
   https://www.insource.co.jp/bup/bup_python_ai.html

・ChatGPT×Excel研修~知識ゼロからマクロを作る
   https://www.insource.co.jp/bup/chatgpt_excel_macro.html


5、おわりに

以上、「情報Ⅰが共通必履修科目となったことによる影響」について
これから社会に出る方、既に出ている方、双方に影響があるということをご説明しました。
プログラミングスキルや情報リテラシーを身につけていくことが、時代に取り残されないようにするためには必要です。

それだけでなく、新たなスキルを身につけることは業務効率化やキャリアアップにもつながります。
そして業務効率化の際によく使われる技術が「Excel操作の自動化」と「スクレイピング」です。

【参考】
・PythonでExcel操作を自動化するコツ
https://www.insource.co.jp/python-gakuin/mail-backnumber/vol12.html

・Pythonによるスクレイピングの基本 ~Web上からの情報収集自動化
https://www.insource.co.jp/python-gakuin/mail-backnumber/vol15.html

「スクレイピング」とは、インターネット上に存在するあらゆる情報を、自由自在に自動収集する技術の事を指します。

「Excel操作の自動化」と「スクレイピング」をできるようになれば、現在マウスやキーボードで行っている業務の大半を自動化できます。
例えば、「競合他社の製品価格を調べ、Excelに転記する」、「SNSの投稿を収集し、頻出単語をチームメンバーにメールで共有する」のような毎日の業務を自動化できます。

また、生成AIでは文書作成をしたり、プログラムを書かせたりできます。
さらに「Python」と組み合わせることで、在庫予測のような高度な業務も自動化できます。
この機会にぜひ「Python」などのプログラミングや、生成AIについて勉強してみてはいかがでしょうか。


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