vol.30
- コツ・知識
- メールマガジン
実務で必須の「Python仮想環境」について学ぼう!
今回のテーマは
【実務で必須の「Python仮想環境」について学ぼう!】でございます。
実務などで本格的にPythonを活用していくにあたり、「Python仮想環境」についての理解は必須です。
しかし、この「仮想環境」についての理解が乏しく、活用できていない方が多くいらっしゃいます。
「仮想環境」と聞くと、「なんだか難しそう。」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、「Pythonの仮想環境」は決して難しいものではありません。
活用できるようになると、作成物の管理がしやすくなり、開発の効率化にもつながります。
Pythonの仮想環境を活用したことがない方、もしくは活用を試みたことがあるけどしっかり理解できていないという方は、ぜひ当メルマガを通して理解し、活用できるようになりましょう!
※当記事の内容を理解するために、「ライブラリ」についての基本的な理解が必要となります。
「ライブラリ」は「便利な機能がまとまったツール」で、インストールが必要なものと、インストールしなくても標準で使えるものがあります。
ご存じでない方は、ぜひ以下の記事にお目通しください。
https://www.insource.co.jp/python-gakuin/mail-backnumber/vol14.html
(約5分で読めます)
~~~~~~~~~目次~~~~~~~~~
1. Pythonの仮想環境とは
2. 仮想環境を活用するメリット
3. 仮想環境の作成・有効化の方法
4. 仮想環境内でライブラリをインストールする
5. その他、知っておくべき仮想環境の機能
6. 最後に
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1. Pythonの仮想環境とは
仮想環境とは、自身のPC内で仮想的に作成された場所のことです。
実際にプログラミングを業務に活用する場合は、この仮の環境で開発などを行うことも多くあります。
Pythonには、「venv(ブイエンブ)」という仮想環境を提供する機能があります。
「venv」を使うことで、Pythonの独立した動作環境を作ることができます。また、PC上に複数作成することもできます。
2. 仮想環境を活用するメリット
仮想環境を活用することで、PC上に複数の独立したPython環境を作ることができます。
各仮想環境には、それぞれ異なる種類のパッケージ、異なるバージョンのものをインストールすることができます。本格的なPython開発には必須です。
ここでは、仮想環境の活用メリットを【3つ】紹介します。
(1)環境ごとに異なるバージョンのPythonを使える
例えば仮想環境Aでは「Python3.7系」、仮想環境Bでは「Python3.10系」を使うといったことができます。これにより、開発プロジェクトごとに異なるバージョンのPythonで開発を進めることができます。
(2)環境ごとに異なる外部ライブラリをインストールできる
例えば仮想環境Aでは「Seleniumとopenpyxl」、仮想環境Bでは「Seleniumのみ」といったように、仮想環境ごとに導入する外部ライブラリを分けることができます。
(3)環境ごとに異なるバージョンの外部ライブラリをインストールできる
例えば仮想環境Aでは「Selenium2系」、仮想環境Bでは「Selenium3系」といったように、仮想環境ごとに異なるバージョンの外部ライブラリをインストールできます。
3. 仮想環境の作成・有効化の方法
仮想環境の技術を使うには、まず仮想環境の「作成」と「有効化」を行う必要があります。
以下手順で、非常に簡単にできます。
(1)コマンドプロンプト上で、仮想環境を作成したいフォルダに移動する。
コマンドプロンプト上でのフォルダの移動には、「cd」コマンドを使います。
例えば、コマンドプロンプト上で現在「Desktop」フォルダにいて、直下の「project」フォルダに移動するためには、「cd project」と入力して実行します。
(2)仮想環境を「作成」する
仮想環境を作成したいフォルダに移動できたら、後はコマンドプロンプト上で以下コマンドを実行するだけです。
仮想環境名は、任意でつけます。
多くの場合、「env」という名前で仮想環境を作成します。
実行すると、「env」というフォルダが作成されます。この「env」フォルダが、Pythonの仮想環境の実態です。フォルダ内の各種ファイルが、仮想環境の機能を提供してくれます。
これで、仮想環境の作成は完了です。
(3)仮想環境を「有効化」する
仮想環境を「作成」しただけでは、まだ仮想環境を活用することはできません。仮想環境を活用するためには、「有効化」を行う必要があります。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
(macPCをお使いの場合、「source env/bin/activate」を実行します。)
実行すると、コマンドプロンプトの先頭に「(env)」と表示されます。
「env」のところには、仮想環境を作成した際に指定した名前が付きます。
これで、仮想環境の有効化は完了です。
仮想環境の操作のほかに「実行ファイル化」や「スクレイピング」「ブラウザ操作」「Excel操作」について学べる研修もございます。
より実践的なPython技術を習得したい方は、ぜひ詳細をご覧くださいませ。
・Python学院~実践編/Excel操作とスクレイピングを組み合わせる(2日間)
4. 仮想環境内でライブラリをインストールする
それでは、作成・有効化した仮想環境内で外部ライブラリをインストールしてみましょう。
インストールの前に、まず仮想環境内のライブラリ一覧を表示してみます。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
これは、インストールされているライブラリの一覧を表示するコマンドです。
以下コマンドを実行し、Excel操作の自動化ができるライブラリ「openpyxl」をインストールしてみましょう。
これで、仮想環境内にライブラリをインストールすることができました。
仮想環境内でインストールしたライブラリは、仮想環境内でのみ有効です。
仮想環境ごとに異なるライブラリをインストールすることができれば、開発プロジェクトごとに使用するライブラリを管理することができます。
また、実際に仮想環境を利用しながらWebアプリケーション開発を体験する研修もご用意しております。
ご興味がある方はぜひ一度こちらもご覧ください。
・Python学院~Webアプリケーション開発編/Djangoとデータベースの連携を学ぶ(3日間)
5. その他、知っておくべき仮想環境の機能
仮想環境を活用するにあたり、「無効化」と「削除」の方法についてもお伝えします。
順にご説明します。
(1)仮想環境の「無効化」
仮想環境を「有効化」した後に、「無効化」することができます。
仮想環境を無効化することで、独立したPythonの動作環境から抜けることができます。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
これで仮想環境が無効化され、コマンドプロンプトの先頭に付いていた「(仮想環境名)」の表示が消え、元に戻ります。
(2)仮想環境の「削除」
作成した仮想環境が不要になった際は、作成した仮想環境名のフォルダ(今回は「env」)を削除すれば、仮想環境も一緒に削除されます。
仮想環境を活用することで「使用するライブラリのバージョンが異なる複数のプロジェクトに同時参加できる」というメリットがありますが、その他にも「〇〇ライブラリをお試しで使ってみたい!」という場合にも有効です。
仮想環境を作成・有効化して〇〇ライブラリをインストールし、お試しで使ってみた後に仮想環境を削除するという仮想環境の使い方もあります。
こうすれば、PCにグローバルインストール(仮想環境を使わずにインストール)して、環境を汚す心配もありません。
6. 最後に
以上、実務で必須の「Python仮想環境」について、概念や基本的な使い方をご説明しました。
「Python仮想環境」が活用できるようになると、複数の開発プロジェクトにスムーズに参加することができます。
作成物の管理がしやすくなり、本格的な実務での活用には必須のスキルです。
弊社で現在提供している「Python学院~実践編/Excel操作とスクレイピングを組み合わせる(2日間)」では、「Excel操作の自動化」と「Webサイトからの情報取得自動化(スクレイピング)」の組み合わせ、「仮想環境の活用」など実務でPythonを活用するために役立つ知識・スキルを満遍なくレクチャーいたします。
実務で活用するためのPythonの知識・スキルを体系的に学びたい、現場のエンジニアが活用している技術を学びたいという方は、ぜひカリキュラムをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それでは、次回もお楽しみに!
関連研修
【実務で必須の「Python仮想環境」について学ぼう!】でございます。
実務などで本格的にPythonを活用していくにあたり、「Python仮想環境」についての理解は必須です。
しかし、この「仮想環境」についての理解が乏しく、活用できていない方が多くいらっしゃいます。
「仮想環境」と聞くと、「なんだか難しそう。」と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、「Pythonの仮想環境」は決して難しいものではありません。
活用できるようになると、作成物の管理がしやすくなり、開発の効率化にもつながります。
Pythonの仮想環境を活用したことがない方、もしくは活用を試みたことがあるけどしっかり理解できていないという方は、ぜひ当メルマガを通して理解し、活用できるようになりましょう!
※当記事の内容を理解するために、「ライブラリ」についての基本的な理解が必要となります。
「ライブラリ」は「便利な機能がまとまったツール」で、インストールが必要なものと、インストールしなくても標準で使えるものがあります。
ご存じでない方は、ぜひ以下の記事にお目通しください。
https://www.insource.co.jp/python-gakuin/mail-backnumber/vol14.html
(約5分で読めます)
~~~~~~~~~目次~~~~~~~~~
1. Pythonの仮想環境とは
2. 仮想環境を活用するメリット
3. 仮想環境の作成・有効化の方法
4. 仮想環境内でライブラリをインストールする
5. その他、知っておくべき仮想環境の機能
6. 最後に
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1. Pythonの仮想環境とは
仮想環境とは、自身のPC内で仮想的に作成された場所のことです。実際にプログラミングを業務に活用する場合は、この仮の環境で開発などを行うことも多くあります。
Pythonには、「venv(ブイエンブ)」という仮想環境を提供する機能があります。
「venv」を使うことで、Pythonの独立した動作環境を作ることができます。また、PC上に複数作成することもできます。
2. 仮想環境を活用するメリット
仮想環境を活用することで、PC上に複数の独立したPython環境を作ることができます。各仮想環境には、それぞれ異なる種類のパッケージ、異なるバージョンのものをインストールすることができます。本格的なPython開発には必須です。
ここでは、仮想環境の活用メリットを【3つ】紹介します。
(1)環境ごとに異なるバージョンのPythonを使える
例えば仮想環境Aでは「Python3.7系」、仮想環境Bでは「Python3.10系」を使うといったことができます。これにより、開発プロジェクトごとに異なるバージョンのPythonで開発を進めることができます。
(2)環境ごとに異なる外部ライブラリをインストールできる
例えば仮想環境Aでは「Seleniumとopenpyxl」、仮想環境Bでは「Seleniumのみ」といったように、仮想環境ごとに導入する外部ライブラリを分けることができます。
(3)環境ごとに異なるバージョンの外部ライブラリをインストールできる
例えば仮想環境Aでは「Selenium2系」、仮想環境Bでは「Selenium3系」といったように、仮想環境ごとに異なるバージョンの外部ライブラリをインストールできます。
3. 仮想環境の作成・有効化の方法
仮想環境の技術を使うには、まず仮想環境の「作成」と「有効化」を行う必要があります。以下手順で、非常に簡単にできます。
(1)コマンドプロンプト上で、仮想環境を作成したいフォルダに移動する。
コマンドプロンプト上でのフォルダの移動には、「cd」コマンドを使います。
例えば、コマンドプロンプト上で現在「Desktop」フォルダにいて、直下の「project」フォルダに移動するためには、「cd project」と入力して実行します。
(2)仮想環境を「作成」する
仮想環境を作成したいフォルダに移動できたら、後はコマンドプロンプト上で以下コマンドを実行するだけです。
python -m venv 任意の仮想環境名
仮想環境名は、任意でつけます。
多くの場合、「env」という名前で仮想環境を作成します。
python -m venv env
実行すると、「env」というフォルダが作成されます。この「env」フォルダが、Pythonの仮想環境の実態です。フォルダ内の各種ファイルが、仮想環境の機能を提供してくれます。
これで、仮想環境の作成は完了です。
(3)仮想環境を「有効化」する
仮想環境を「作成」しただけでは、まだ仮想環境を活用することはできません。仮想環境を活用するためには、「有効化」を行う必要があります。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
env\scripts\activate.bat
(macPCをお使いの場合、「source env/bin/activate」を実行します。)
実行すると、コマンドプロンプトの先頭に「(env)」と表示されます。
「env」のところには、仮想環境を作成した際に指定した名前が付きます。
これで、仮想環境の有効化は完了です。
仮想環境の操作のほかに「実行ファイル化」や「スクレイピング」「ブラウザ操作」「Excel操作」について学べる研修もございます。
より実践的なPython技術を習得したい方は、ぜひ詳細をご覧くださいませ。
・Python学院~実践編/Excel操作とスクレイピングを組み合わせる(2日間)
4. 仮想環境内でライブラリをインストールする
それでは、作成・有効化した仮想環境内で外部ライブラリをインストールしてみましょう。インストールの前に、まず仮想環境内のライブラリ一覧を表示してみます。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
pip list
これは、インストールされているライブラリの一覧を表示するコマンドです。
以下コマンドを実行し、Excel操作の自動化ができるライブラリ「openpyxl」をインストールしてみましょう。
pip install openpyxl
これで、仮想環境内にライブラリをインストールすることができました。
仮想環境内でインストールしたライブラリは、仮想環境内でのみ有効です。
仮想環境ごとに異なるライブラリをインストールすることができれば、開発プロジェクトごとに使用するライブラリを管理することができます。
また、実際に仮想環境を利用しながらWebアプリケーション開発を体験する研修もご用意しております。
ご興味がある方はぜひ一度こちらもご覧ください。
・Python学院~Webアプリケーション開発編/Djangoとデータベースの連携を学ぶ(3日間)
5. その他、知っておくべき仮想環境の機能
仮想環境を活用するにあたり、「無効化」と「削除」の方法についてもお伝えします。順にご説明します。
(1)仮想環境の「無効化」
仮想環境を「有効化」した後に、「無効化」することができます。
仮想環境を無効化することで、独立したPythonの動作環境から抜けることができます。
コマンドプロンプト上で、以下のコマンドを実行します。
deactivate
これで仮想環境が無効化され、コマンドプロンプトの先頭に付いていた「(仮想環境名)」の表示が消え、元に戻ります。
(2)仮想環境の「削除」
作成した仮想環境が不要になった際は、作成した仮想環境名のフォルダ(今回は「env」)を削除すれば、仮想環境も一緒に削除されます。
仮想環境を活用することで「使用するライブラリのバージョンが異なる複数のプロジェクトに同時参加できる」というメリットがありますが、その他にも「〇〇ライブラリをお試しで使ってみたい!」という場合にも有効です。
仮想環境を作成・有効化して〇〇ライブラリをインストールし、お試しで使ってみた後に仮想環境を削除するという仮想環境の使い方もあります。
こうすれば、PCにグローバルインストール(仮想環境を使わずにインストール)して、環境を汚す心配もありません。
6. 最後に
以上、実務で必須の「Python仮想環境」について、概念や基本的な使い方をご説明しました。「Python仮想環境」が活用できるようになると、複数の開発プロジェクトにスムーズに参加することができます。
作成物の管理がしやすくなり、本格的な実務での活用には必須のスキルです。
弊社で現在提供している「Python学院~実践編/Excel操作とスクレイピングを組み合わせる(2日間)」では、「Excel操作の自動化」と「Webサイトからの情報取得自動化(スクレイピング)」の組み合わせ、「仮想環境の活用」など実務でPythonを活用するために役立つ知識・スキルを満遍なくレクチャーいたします。
実務で活用するためのPythonの知識・スキルを体系的に学びたい、現場のエンジニアが活用している技術を学びたいという方は、ぜひカリキュラムをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それでは、次回もお楽しみに!