2019年08月号
業務の属人化は、研究職や経理・財務などの専門性が高い職場や働く人数が少ない職場で起きやすい現象です。
属人化するぐらい個人が技術を高めたり、その高いスキルが顧客から評価されることは非常に素晴らしいことです。しかし短期的にはそれでよくても、属人化現象が長期化すると、本人の成長も止まりますし、下記のような組織的なデメリット・リスクにもつながります。
①問題、トラブル発生時のフォローができない
仕事が属人化していると、問題・トラブルが発生しても特定の人しか対応することができず、緊急で対応することができなかったり、対応する際に周りの協力を得にくいなどのリスクがあります。
②業務が滞る
属人化が発生していると、その方が不在であったり多忙であった場合に、業務が滞ってしまうという問題も発生します。
③知識、技術の喪失
ベテランなどに業務が属人化していると、急な休職や退職により、時間を掛けて積み上げられた知識や技術が喪失してしまうというリスクがあります(団塊の世代の退職問題など)。
④若手が育たない
管理者やベテランが仕事を抱え込み、若手が成長するための仕事の機会が減ると、若手が育ちません。またそうした人材が育たないと、引き継ぐ相手がおらず・・・という負のスパイラルとなり、属人化がさらに長期化します。
⑤不正が起こりやすくなる
特定の人間が同じ業務を行っていると、チェック体制が機能しないことで業務がブラックボックス化し、不正の温床となる可能性もあります。
下記の要因で業務の属人化が発生します。
①同じ仕事を長期間行っている
②仕事に求められる知識・技能の難易度が高い
③忙しすぎる
自分がした方が早い、ドキュメントを作る時間がないといった状態に陥ることがあります。
④自分の優位性を保ちたい
自分しかできない仕事があるということが自分の評価や存在価値を高めているので、仕事を手放さない方がいます。
⑤自分がやりたいようにやりたい、ミス・不正を隠したい
⑥現場で情報共有が不足している
⑦業務を標準化する風土がない
経験の浅い人が新しい業務を行う際に参考とするドキュメントがないと、なかなか仕事を覚えることができなかったり、業務を引き継ぐことができず属人化が発生します。
上記のようなデメリット・リスクを有する属人化を防止するためには、適切な業務管理、権限委譲とともに、特定の人間ではなく、なるべく多くの方が業務を行えるよう、個人がもっている情報・知識・技能などを組織内で広く共有する必要があります。そのために必要なのがナレッジマネジメントです。
自部署やプロジェクトでの属人化の課題を整理し、属人化解消のために必要な情報(ナレッジ)をどのような目的・内容で作成し、活用・展開していくかといった、業務最適化のためのナレッジマネジメントの職場での実践を具体的に考えていただく講座です。
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