2020年5-6月号
入社してからいくつかの業務を経験し、できることが増えてくると、仕事に安定感がうまれますが、その一方で悪い「慣れ」も出てきます。以下のような悪い「慣れ」は、若手社員の自立を阻む要因となってしまいます。
社会人としての時が経つにつれて、失敗経験の数は相関して増えていきます。失敗が続いて自信を失ってしまうこともあるでしょう。そんな時ほど、「やりたくない」「失敗は嫌だ」「言われたことだけできればいい」などと考え、挑戦することから逃げてしまい やすくなります。
自分に自信がなくなると、「自分には実力がないから、努力しても無駄」という思考に陥りやすいものです。このような思考から自分の限界を自ら設定し、中には成長をあきらめてしまう人も出てきます。
上司や先輩からの評価を気にするあまり、「完璧な結果を出さなければならない」というプレッシャーから、行動を起こせなくなることがあります。行動する前にしっかり考えようとし、悩む時間だけがひたすら過ぎていくということもあるでしょう。
上記の3つの「慣れ」に若手社員が陥らないためには、自立したビジネスパーソンとして育てる必要があります。自立したビジネスパーソンとは、具体的には以下のような意識を持ち、行動できる人材を指します。
若手社員の育成にはこれらの習得に向けたアプローチを推奨いたします。
若手社員が「主体性」を発揮するために必要な目的意識、仮説思考、判断基準の3つの要素を習得する
若い頃の壁は自分で作りだした壁であることが多い。成長するための本当の壁に出会うため偽の壁を乗り越えよう
部下、後輩を牽引するリーダーに必要な「仕事力」と「コミュニケーションスキル」を身につける
「主体性」、「周囲との協働」、「自分で考えるクセ付け」などのビジネスマインドを醸成する
リーダーに必要なマインドや高い視座での考え方を、4SHIP を中心に身につけ、影響力のあるプレイヤーになる
今回は、約10,700名の方(2019年12月末時点)にご回答いただいた階層別テストの中で、「上級管理職向け」テストの結果について、一部ご紹介します。
上級管理職向けの階層別テストの結果をみると、「コストマネジメント」の平均正答率が低い上に、データのバラツキ(変動係数)が大きいことから、正解している人とそうでない人の差が激しいスキルであることがわかります。(図1)このことから、上級管理職に対してコストマネジメントのスキルを身につけるための機会をより一層充実させることで、さらなるステップアップにつながる組織が多いと考えられます。
実際、上級管理職になると「経営的視点を踏まえ、利益を意識した判断・行動をする機会が増える」という声も聞きます。コストマネジメントを学ぶ場を設けることは、今後さらに重要となってくるでしょう。
他方、「人材マネジメント」については平均正答率が高い上に、変動係数も小さいことから、スキルを備えた管理職が多いことがわかります。これには、近年の人手不足やそれに伴うダイバーシティ促進等を受け、多くの企業が部下指導や人材配置に関する教育研修を充実させていることが関連しているかもしれません。
ここで、多くの上級管理職にとって課題となっている「コストマネジメント」についてさらに詳細に検討すると、特に「労務管理」の平均正答率が低い上に、データのバラツキ(変動係数)が大きいことがわかります。(図2)このため、労働法やタイムマネジメント、メンタルヘルスに関する知識の習得が、上級管理職のコストマネジメントスキルの向上に有益であると考えられます。例えば、管理職としてのタイムマネジメントについて学ぶ機会を設ければ、組織の生産性や業務効率の向上等にポジティブな影響を与えるでしょう。
さらに、上級管理職として重要な「経営戦略」に関するスキルの詳細をみると、AI活用に関しては比較的高い正答率を示す一方で、情報判断に関するスキルは正答率が低い上に変動係数が大きいことがわかりました。(図3)このことから、上級管理職として重要な「複雑な情報を踏まえ、的確な判断をするスキル」を向上させる必要性がうかがえます。
このような傾向を踏まえた上で、上級管理職の育成に努めていただければ幸いです。なお、インソースの「階層別テスト」をご利用いただければ、全国平均と自組織の得点とを比較することが可能です。
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