2019年05月号
今年もまた、職場に新入社員を迎え入れる季節になりました。毎年この時期になると、各種メディアでは様々な"トンデモ新人" の「あり得ない言動」が紹介されます。それを見て「やれやれ、最近の若手には困ったものだ」とため息をつく上司、先輩世代の方もいらっしゃるかもしれません。
実際、社会人としての常識が身についていない若手たちの言動は、常識が" 空気のような存在" になっている上の世代からすると、非常識極まりないことのように見えてしまい、つい「大丈夫か・・・?」と思ってしまうものです。そして、そんな彼ら彼女らのことを話題にするときの枕詞が、「イマドキの若手は・・・」というお決まりのフレーズなのです。
最近の若い世代は、仕事を命じた時に「なぜその仕事をしなければならないのか」と理由を求めてくる傾向があり、戸惑うことも多いと聞きます。
「いちいちそんなこと説明していられないよ」「そういうことはやりながら分かっていくものだ」というのが、上司や先輩としての本心ではないでしょうか。「自分たちの若いころにはそんなことを懇切丁寧に教えてくれる先輩なんていなかった」という言い分もあるでしょう。
「言わなくてもわかるはず」と思ってあまり詳しい説明もせずに新人にやらせたら、見当違いなことをしてしまった、という話も耳にします。
しかし、説明が不充分なために部下が間違ったことをしてしまった場合、その責を問われるのは「指示した上司側」というのが、グローバルな世界での常識です。職場の人材が多様化し、「暗黙の常識」の輪郭があいまいになってきている今日、「言わなくてもわかるだろ」は、単なる上司・先輩側の怠慢としかみなされません。
「人は競争の中でこそ育つもの」という考え方が、今の40 代以上の世代にとっては半ば当たり前のこととして染みついています。同年代の出生数が多く、ライバルが大勢いる中、限られた枠を目指して競い合っていくことこそが、社会人としての生き方のモデルだと信じてきた世代からすると、仲間との軋轢を避け、ポストを譲り合いながら自分にとっての居心地のいいポジションを模索していこうとする今の世代の姿は、「異質」なものに見えるかもしれません。
しかし、人口動態を見る限り、わが国ではもうしばらくこの"緩い競争環境" が続くことが想定され、職場の世代構成が入れ替わっていくにつれて、"常識" もそちら側にシフトしてくことは間違いありません。つまり、若手の非常識を嘆いている上司世代の考え方こそ「非常識なもの」になる可能性が高いのです。
一律の基準のもとで競い合わせながら選別していく人材育成から、一人ひとりの持ち味を活かし、それぞれの組織貢献の形を模索させていく人材育成へ。限られた人材リソースをいたずらに失うことなく成長させていくためには、一人ひとりにカスタマイズした指導・教育と、その前提となる上司・先輩の個を尊重した関心・関与が欠かせません。今年の新人教育対策は、まず、指導者世代の意識変革から始めてみてはいかがでしょうか。
若手世代を指導する立場の方で、特に年齢差のある中堅層からミドル層に属する方を対象にした研修です。自身の部下・後輩を、4つのタイプ分類の中に当てはめ、適切な指導方法を検討したり、ケーススタディを通して、困った部下・後輩の言動にどう対応すべきかを、グループワークを通じて議論していただくなど、実践面に重点を置いた演習を多数組み込んでいます。
部下の考えと行動を「引き出す」コーチングスキルを習得し、部下の成長と自主性を促進します。上司の判断軸をコーチングスキルを通して伝え、一定の判断軸を組織内に浸透させます。
公開講座からの新着メッセージ
お知らせ
直近の公開講座開催研修