◆ 震災のときほど「心情理解」
震災の影響でコールセンターの皆さまは、緊急の対応に追われていらっしゃることと存じます。そんな中で、どのようにお客さまに向き合えば良いのかをお伝えいたします。
お客さま応対の基本は「心情理解」
今回のような状況で、最も大切なのは、「お客さまの心情を理解した応対」をすることです。それでは、どのようにすれば「お客さまの心情を理解した応対」ができるのでしょうか。具体的には、次の4つの方法をおすすめいたします。
- プラスアルファ(+α)の声かけを行う
- お客さまのご事情を全身で心をこめて聴く
- 解決策を共に考える
- いくら調べても、考えても解決策がない場合は心を込めてお伝えする
以下に、それぞれの内容を見ていきます。
プラスアルファ(+α)の声かけを行う
現在、「地震の影響により、通常通り××はできません」ということが多いと思います。このとき、あえて「地震の影響により」だけでなく、次のような一言を添えてみましょう。
「ご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません」
「お時間を取らせてしまいまして、申し訳ございません」
「せっかく当社の製品(サービス)をお使いいただきながら、誠に残念です」
オペレーターは事務的に対応するのではなく、お客さまがお困りの事実に対し、お客さまの心情を推し量って言葉をかける必要があります。「困っている」人がいたら同情するのはごく普通のことです。ましてや自社の商品・サービスを使っていただいているのであれば、なおさらです。ただ現実には、「地震が・・・」という理由の説明が先行してしまいがちです。現在の相手の立場に立って、共感することが重要です。
お客さまのご事情を全身で心を込めてきく
「いや、この商品は至急いるんだよ。娘が・・・」などとお客さまが事情の説明をされる場合があると思います。このようなときは、お客さまのご事情を全身で心を込めてきくことが大切です。お客さまの話をきくとは、「態度」「表情」「声」を使って、お客さまの「困っている」状況に対しての「共感」を全身で伝えることに他なりません。
例えば、先の例であれば、「さようでございますか。すぐお嬢さまに必要なんですね。ご事情お察しいたします」とお伝えします。漢字の細かいニュアンスを表現すれば、これは「聞く」ではなく「聴く」です。事務的ではなく、心で聴きましょう。
お客さまは「話して、事情を分かってもらいたい」のです。電話を受ける皆さんにとっては「よくあること」かもしれませんが、お客さまにとっては「大きな」「大切な」「まれな」ことです。誠意を示すために遮らずに全身で聞きます。お客さまの話を聞いている時間は長く感じられるものです。しかしお客さまの話は、ほとんどの場合、3分以内に終わってしまいます。少し我慢して聞いてください。そうすると、両者の間に信頼関係が生まれます。
解決策を共に考える
まず、よくご事情をお聞きし、対策を見つけるのがプロの務めです。様々な可能性を考え、上司、同僚などにも相談します。その際は、お客さまのご要望をメモにまとめ、整理して相談します。
いくら調べても、考えても解決策がない場合は心を込めてお伝えする
場合によっては、どうしても解決策がない場合もあると思います。そんなときは、「いろいろ検討いたしましたが、やはり対策がございません。大変お困りのところ、申し訳ございません。」と心を込めてお伝えします。オペレーターは電話を「事務」のように「処理」してはいけません。そうすると「あのオペレーターはけしからん」というクレームになってしまいます。
さてここまで、「お客さまの心情を理解した応対」をするための具体的な方法をご紹介してきました。最後に、心情理解度の高いオペレーターと低いオペレーターの違いをチェック形式でご紹介いたします。確認してみてください。
心情理解度の高いオペレーターと低いオペレーターの違い
実際にお客さまに対する心情理解ができているかどうかということは、意外とわかりにくいものです。以下に心情理解度が"高い"オペレーター、"低い"オペレーターの特徴を挙げます。
1.心情理解度が"高い"オペレーターの特徴
- お客さまの"時間"を考慮して、所要時間を前置きしている
- お客さまがメモする時間を確保するためにゆっくり話したり、繰り返したりする
- お客さまが考える"間"をとったり、理解度を確認しながら会話を進めている
- お客さなの問い合わせ内容の周辺状況を確認する言葉かけや、真の目的を理解しようとする姿勢がある
- 説明のレベルをお客さまに合わせているためわかりやすく、安心できる
2.心情理解度が"低い"オペレーターの特徴
- お客さまの言葉を遮る
- 話すテンポが画一的で不自然、お客さまのテンポと合っていない
- 高圧的でお客さまの気持ちに配慮がない
- お客さまの質問には回答できるが、積極性が感じられないため、高い信頼感にはつながらない
- 知識不足からくるあいまいな説明、逆に知識が豊富でも専門用語の不必要な多用があり、不安感がある
「お客さまの心情を理解すること」。それには、サービス業の原点となる「CS」の考え方と、それを具現化したアクションや言葉の表現が必要となります。