証券市場への情報開示(ディスクロージャー)には、金融商品取引法に基づく法定開示と、証券取引所の自主規制に基づく適時開示の2つがあります。適時開示は、法令に基づく規制でなく、刑事罰や課徴金の制裁もなく、財務報告に係る内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)のような制度もないことから、ともすると法定開示に比して軽く扱われがちな傾向にあります。しかしながら、適時開示は上場株の価格形成に決定的な影響力を有しており、そこに大きな法的リスクが潜在しています。
近年、不祥事の適時開示前に行われたインサイダー取引をバスケット条項を使って摘発した事例が頻発しており、MBO等組織再編時の適時開示についても、証券取引所によって強化が図られ、さらに金融商品取引法の改正でフェア・ディスクロージャー・ルールが導入されるなど、適時開示の法的リスクは顕在化しつつあります。
本セミナーでは、不適正な適時開示の法的リスクを、インサイダー取引の誘発と不法行為に基づく損害賠償請求という2つの側面から分析し、事例と判例を踏まえたケーススタディを行うことにより、適時開示に潜む法的リスクを体感していただき、その対応を理解していただきます。