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インソース公開講座通信1-2月号

2019年1-2月号

イノベーション実現のプロセス「デザイン思考」

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、ユーザーへの徹底的な観察によって発掘した「隠れた欲求=インサイト」を起点とする、イノベーション創出の思考プロセスです。

デザイン思考で生み出されたイノベーションの1つに「iPod」が挙げられます。開発時にはユーザーを徹底的に観察し、その多くが「面倒だ」と感じながらもCD からPC を中継し、プレイヤーに音楽を入れなおしていることを発見。ここから「どこでもその場で選んだ音楽を聴きたい」というユーザーのインサイトを発掘し、「全ての曲をポケットに入れて持ち運ぶ」などのコンセプトが生まれ、約2カ月で100以上のプロトタイプが制作されました。そうして幾度もの試作とテストの果てに、初代iPod が完成したのです。

近年、高品質な商品・サービスの流通により、個々の差別化がどんどん難しくなっています。ユーザーとしてはどの商品を選んでも一定の満足を感じるが、逆に心から満足するものは少ないという心理になりがちです。このような状況下では、ユーザーの抱える無意識の課題に、これまでになかった新しいアイデアが眠っているため、そのインサイトを如何に発掘できるかが商品開発の鍵となります。そのため、インサイトの発掘から仮説・プロトタイプ・検証までをスピーディーに回すデザイン思考が今、注目されているのです。

デザイン思考のプロセス

デザイン思考は下記の5 段階で構成されますが、中でも特徴的なのが徹底的な観察によるインサイトの発掘です。

①共感 (Empathize):現場でじっくりとユーザーを観察・インサイトを発掘

②定義 (Define):集めた情報を基にイノベーションを起こせるテーマを定義

③発想 (Ideate):設定したテーマを具体化するアイデアを検討

④試作 (Prototype):アイデアを端的に伝えるプロトタイプを作成

⑤試行 (Test):レビューやユーザーからのフィードバックを受ける

3つのインサイト

インサイトには下記3種類があり、デザイン思考ではこれを意識して、ユーザー観察やヒアリングをしていきます。

  

a.無自覚:自覚していないもの、本人が気づいていないもの

b.未表出:何となく自分の欲するものに気づいているが、言語化できていないもの

c.忌避:何となく自分の欲するものに気づいているが、共感を得にくいために自分で表現することを避けているもの

  

さらに観察によって得たインサイトに意味づけをし、斬新または挑戦的なテーマ(コンセプト)を定義することで、イノベーションの創出につなげます。

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アセスメントの現場より Vol.01
階層別テストから見る初級管理職の傾向

インソース公開講座通信1-2月号

今回は、約9,500名の方(2019年9月末時点)に受検いただいた階層別テストのうち、初級管理職向けテストの結果を一部、ご紹介します。


「プロジェクトマネジメント」「経営戦略」「人材マネジメント」等、初級管理職に必要なスキルの知識と活用力をテストすると、全国的に「リスクマネジメント」の平均正答率が高く、データのバラツキ(変動係数)が小さいことがわかりました。(図1)これは、初級管理職層においてリスクマネジメントスキルを有する人材が多いことを表しています。近年、コンプライアンスやハラスメント関連研修のお問い合わせが増えており、そういった研修の充実が寄与しているものと考えられます。

その一方で、「経営戦略」の平均正答率が最も低いという結果も出ました。データのバラツキが大きいことから、正解している人とそうでない人の差が激しいスキルであることを表しています。

実際の現場においても、初級管理職になると、経営的視点を踏まえたうえで物事を判断する機会が増えることから、この階層では特に経営戦略を学ぶ場を設けることが重要になってくるでしょう。


また、さらに詳細に見ていくと、経営戦略スキルを構成する要素のうち「時事知識」の平均正答率が低く、データのバラツキが大きいことがわかりました。(図2)このことから、初級管理職の経営戦略スキル向上のためには、まずは社会・経済環境の変化といった「時事知識」を身につけることが肝要と言えます。例えば、外部環境を学び、分析する機会を設けることは、マーケティング戦略の見直しや、新事業の立ち上げなどに繋がり、組織に良い影響を与えます。

このほかにも、「階層別テスト」では自組織の結果と全国平均を比較できるため、一目で自組織に足りないスキルを把握することができます。ぜひ効果的な教育戦略の立案にご活用ください。

※ 変動係数とは標準偏差を平均値で割ったものであり、単位が異なる場合のデータのバラツキを表す指標です

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