■同じなのに「違う」研修
同じテーマ、テキストも同じ、実施時間も、会場も、受講者の所属の部署も、講師もすべて同じ。違うのは参加した受講者だけ。それでも、なんというんでしょうか、やっぱり「違う」研修になるんです。
■現場では「化学反応」が起こっている
なぜそんなことが起こるのか。それは、研修には現場で作られる部分が少なからずあるからです。講師が質問を投げかける、受講者から突拍子のない質問が挙がる・・・。それぞれに受講者が応え、講師が応じる。そんなキャッチボールを通じて、テキストやカリキュラムの行間を埋めていきます。さらにそのキャッチボールが進むと、研修会場全体を巻き込んだ大盛況を見せる瞬間があります。私は、それを講師と受講者に「化学反応が起こった」と言っています。
■企画運営担当は「仕掛け人」
その瞬間は、私が研修を見ていて一番好きな時でもあり、講師や受講者にとっても一番「楽しい」「研修に来てよかった」と思える瞬間だと思います。この反応が起こった研修では、受講者がまず間違いなく満足して帰っていきます。
さて、企画運営担当としてそんな現場を目の当たりにして、もっと化学反応を起こしたい! その仕掛けを考えるのが自分の仕事ではないか! と思いました。つまり、企画運営担当とは「化学反応仕掛け人」という側面もあるのではないかと思っています。
■キーワードは「両想い」を演出すること
講師と受講者間の良好なコミュニケーション、つまり、一方的ではないインタラクティブなコミュニケーションが化学反応への導火線になります。そういった意味で、随所にグループワークをはさみ、受講者同士の意見交換を促し、グループ発表で受講者と講師の対話を生む当社の研修では、双方向のコミュニケーションが起こりやすいのは事実です。
もうひとつ、仕掛け人としては、事前にお互いを知ってもらう工夫をすることが大事だと思います。講師に対しては、その部署や受講者が何をしている人たちなのか、どんな思いで働いているのか、何に困っているのかなどの、できる限りの情報提供をすることです。また、講師の経歴や経験談を積極的に交えて講義をしていただくことで、受講者の講師への興味は深まっていきます。
お互いが興味を持ちあって、コミュニケーションがしっかり取れれば、両想いの場が生まれます。人間、両想いになれば燃え上がるものです。それが導火線に火をつけるのではないか、と思っています。
■やっぱり見た方がいい、研修現場
これは、企画運営を担当している私自身への戒めとして綴っておきたいことですが、研修は、やはりその場その瞬間にいる「人」がその多くの部分を担っています。だからこそ、研修は積極的に聴講するべきだと思っています。研修の現場には、アンケートや又聞きの情報では得られない、研修企画のヒントも大いに転がっています。