苦情への対応の仕方~電話クレーム対応の基本No2
クレームを起こしやすい人には、以下の3つの共通した問題点があることを述べました。
(1)お客さまが困っていることに対して、「お詫びができない」
(2)お客さまのクレームを最後まで聞かず、「言い訳をしてしまう」
(3)どんなクレームが発生しているか、「事実の確認ができない」
今回は実際にクレーム対応を行う基本手順の話や、クレームの組織対応の話をお届けします。
- 目次
クレーム対応の基本手順
クレーム対応には基本的に4つの基本手順が存在します。どのようなクレームでも、この手順に従って対応すれば、ほとんどの場合、スムーズに対応できます。
(1)当事者である意識を強く持つ
(2)相手の「心情を理解」し、不快にさせたことを「お詫び」する
(3)何が問題になっているか、「原因・事実確認」を行う
(4)問題の「代替案・解決策」を冷静に提示する
心情理解を示し、事実の確認をする
2番目の手順である「心情理解」とは、クレームを言うお客さまには感情を害した理由が必ずあるので、その「不快な思いをさせたこと」に対し、相手の立場に立って共感することです。なんとか早くクレームから逃れたいために、すぐに「解決策」を提示したくなるかもしれませんが、ここで手順を間違えると二重クレームになってしまうおそれがあります。まず、お客さまの心情を理解する言葉をかける(=「お詫びをする」)ことが先決です。また、心情を理解していることを示すために神妙な声や話し方をすることも必要です。そしてその次には、何が問題になっているか「事実確認」をしてください。クレームがこじれてトラブルになる原因として、「事実確認」をおろそかにしている場合が多いです。
解決策は最後に提示
お客さま 「パソコンが壊れた」
応対者 「はい、取り替えます。着払いで、こちらにお送りください」
お客さま 「取り替えればいいというものではないだろう! いいかげんにしろ!」
この例のように解決策の提示が早すぎる場合が多く見られます。クレームをこじらせる原因として、このようなケースが往々としてあります。応対をする上では、まずはじっくり、お客さまのお話を伺うことが先決です。お客さまの気持ちが晴れないと、解決策は受け入れにくいものです。事実を正確に知ることができれば、適切な「解決策」が提示できます。ただし、解決策の提示は最後に行うべきです。このような手順をしっかりと守りましょう。
クレームは"組織対応"を行う
(1)組織対応の必要性
他の人がクレーム対応をしていると、「私じゃなくてよかった」と思いがちですが、クレームは特定の個人に向けられたものではなく、組織に向けられたものです。あなたも会社の一員として無関係ではありません。クレームに困っている人がいたら、資料を用意したり、クレームの類例を調べるなど積極的に協力してあげましょう。
クレームを押し付けると、その当事者がクレームを一身に背負い込むことになります。その結果、精神的に追い込まれ、やる気の減少やモラルダウンを引き起こし、他の仕事にも支障がでてしまいます。現在、「こころ」の問題が深刻化していますが、管理職はもちろん、一般の社員もクレームがもたらす同僚のメンタル面の影響に十分に配慮しましょう。
しかし、クレーム受けた本人としては、できる範囲の対応は自分で行い、安易に上司や先輩に丸投げやバトンタッチをしないようにして下さい。また、クレーム対応をうまくこなすと、それが自信になり、その個人の成長につながります。組織のクレーム対応能力の向上は、やはり個人の能力の向上無くしてはあり得ません。
(2)電話時間が長くなれば、上司(SV(スーパーバイザー))もしくは先輩、同僚が代わること
電話でクレームを受けていると、つい長くなりがちです。そんな場合には、一定時間(10分~20分)で、別の担当者に代わると解決が早い場合が多いです。
これは、クレームを受けている担当者のメンタルヘルス上も得策です。ポイントは、実際クレーム電話を受けている担当者は電話に没頭しているので、周囲が早めに判断して、一定時間経ったら、代わるようにしましょう。(職場のルールを設定しておくと安心です)
例えば、以下にその手順の一例を挙げてみました。
※手順
同僚のクレーム電話が一定時間(10分~20分)かかっているのを発見する
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別の担当者がクレーム電話を引き継ぐ
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その際は、手短に元の担当者から内容を引き継ぎ、クレーム電話に出る(上司、先輩、ベテラン社員風の対応が望ましい)
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顧客も担当者が代わり、クールダウンできるので、切る理由ができる
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結果的に電話対応時間が短くなり、顧客・企業にとっても負担が軽くなる