労務管理を学ぶ~労働時間や契約条件には特に注意を
質問 労務関係はひと通り知識を持たなくてはいけないと思います。その中で特に注意すべき点はありますか?
答え 労働時間や契約条件には特に注意してください
労務管理をするうえで、そもそも労働基準法(労基法)とは何かを理解しておかなければなりません。しかし、労働基準法といっても一口で説明することは難しいので、まずは以下のポイントで基本的なポイントや注意点を解説していきます。
- 目次
1.労働基準法
労働基準法に記載されている内容は簡単に言うと以下のようになっています。
(1)労働者の人間らしい生活を保障する法律
(2)最低限の労働条件を定めた法律
(3)労基法の概要
・採用・配置転換・退職・解雇の取り扱い
・労働時間と労働時間制
・休日・休暇の取り扱い
・賃金の定め方・支払い方
・年少者・女性労働者への配慮
・災害補償の仕組み
つまりこれは、労働者にとって大前提となっている最も重要な法律なのです。中でも最低限覚えておいて欲しいのは労働時間と労働契約に関することです。
以下に簡単にまとめます。
■労働時間
・1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて労働させてはならない(第32条)
・労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならない(第34条)
・時間外労働が認められる場合は時間外労働手当を支給する(第36条)(時間外の場合は最低でも25%以上割増となる、など)
■労働契約
・採用時の労働条件提示をしなければならない(第15条1項)
・労働の対価として使用者が労働者に賃金を支払う(第11条)
例)東京都(一般):958円 ※平成29年10月1日現在
その他、実際にはもっと詳細に規定されていますので、経営者はよく理解しておかなければなりません。
2.労働時間
中小の企業やベンチャー企業でありがちですが、法定労働時間を大幅に超えて従業員を働かせている例があります。これは無理やり働かせるということよりも、残業なしでは完遂することができないような業務量を与えていることによって起こるケースが多いようです。これは労基法に抵触しやすい項目なので、社員・スタッフの業務管理や労働時間管理をバランスよく行うようにしましょう
3.契約条件
業務内容や始業・終業時刻、賃金、就業場所などの契約です。ここで気をつけることは、必ず労働条件を相手に書面等で明示し、労働契約書などを取り交わしておくことです。アパレル業だと店員はパートタイマーが多いと思いますが、パートタイム労働法という法律もありますので、パートタイムであっても必要になります。特に最低賃金、臨時賃金、賞与、支払い日など金銭にからむことには要注意です。
また、長く会社を続けると賃金体系の変更などが必要なときもありますが、デリケートな問題ですから十分な配慮をしながら進めてください。
4.シフト管理
労務管理で問題を起こさないためには、シフト管理が非常に重要になります。上記で解説したようなポイントは徹底したシフト管理がなされていれば起こりにくい問題も多いのです。
シフト管理は店舗に必要な人員確保をすることと、同時に業務量と人件費のバランスをとることが主な目的です。主力人員としてアルバイトやパートタイマーが多く在籍している場合、個々のシフトの入り方や賃金のバランスを考えることは大事な労務管理業務です。
仕事の繁閑の差によってシフトを考え、契約内容にも十分配慮したシフト管理表を作成し、毎日チェックするようにしてください。現在では様々なシフト管理ソフトがネット上でてにはいりますが、自分の会社に合った様式で、継続的に活用できなければ意味がありません。既成のソフトを頼りにしすぎない方が良いでしょう。
どうすれば効率的に管理ができるか、自分の会社の状況をよく見てベストなやり方を模索してください。
レポート
アルバイトの管理業務は多少経験がありますが、まだまだ知識不足感は否めません。労務管理はしっかり勉強しておかないと、後々で大きな問題が発生する可能性があるので、早いうちからよく勉強していきたいと思います。
シフト管理についても、今までは繁閑の差を予測しながら人員の調整をしていたわけではないので、より高度なバランス感覚が必要だと感じました。これについてはシフト管理の知識もそうですが、どの仕事にどの程度の人員が必要かという基準をまだ持っていないため、業務を覚えながら管理の仕方を身につけていこうと思います。