■事前課題を基に仮説を立てて研修に臨むと効果的です
これまで2回にわたり、事前課題の有効性についてお伝えして参りましたが、受講者から得られた有益な情報には、そのまま研修で使えるものもあれば、ひと工夫すべきものもあります。そのひと工夫とは、「受講者の課題に対して仮説を立て、それを証明する」というものです。今回も、実際にこれを行い成果があった例をご紹介します。
ある自治体さまにて業務改善研修を実施させていただいたのですが、事前課題で多く挙げられた課題が「業務改善をやろうという意識や意欲があってもできていない」というものでした。そこで、意識や意欲がそがれている原因について、弊社営業と講師が次のような仮説を立てました。
1.『改善』を重く大きく捉えすぎているのではないか?だから、やる前からあきらめているのでは?
2.業務が忙しい・自分がやらなくても誰かがやるなど、取り組むことに言い訳を作っているのではないか?主体的に動く意義を理解しきれていないのでは?
3.仮に自ら動くことを理解していても、それを履き違えて自分ひとりで改善活動を抱え込んでいるのではないか?だから、周囲への理解・協力が得られず、挫折しているのでは?
これらの仮説の裏づけをとるために、研修の冒頭で「業務改善がなぜ進まないのか」についてグループワークを実施いたしました。その結果、仮説どおりの意見が受講者から挙げられました。
このことにより、「みんな同じことで悩んでいるんだ」「自分だけが苦しいのではないんだ」ということを受講者同士で共有する事ができ、その後の研修の取り組み姿勢が一気に前向きになりました。
■受講者ご自身に、研修への参加意欲を高めてもらうことも可能です
実は、この課題やそれに対する回答は、もともとテキストにも記載してあり、当日は講師からお伝えすることは決まっていました。しかし、今回「事前課題からの仮説」ということでワークを実施し、受講者自身に仮説の立証をしていただいたことで、研修内容を自分の問題として、より深く受け止めていただけたという結果になりました。
事前課題は、研修を企画している時にはわからなかった受講者の悩みや課題を浮き彫りにするという効用もありますが、同時に研修内容が自分にとって重要・有益であるということを受講者自身に感じていただけるというメリットもあります。
■事前課題集計も、受講者の関心をひきつける便利なツールです
ちなみに、インソースでは、集まった事前課題回答を一覧にしてお渡ししております。普段はなかなか知ることができない、他者の悩みを見ることができ、みんな同じ悩みやそれ以上に深刻な課題を抱えているんだということがわかります。これにより、少し自分の肩の荷を下ろすことができます。
気持ちをラクにして研修を受講していただくことも、研修成功の重要な一要素だとインソースは考えます。
研修ご担当者さまにとっても、その後の研修体系や人事制度構築において参考になる資料となります。
事前課題は、「ただ読みこむだけではなく」、ひと工夫で大きく研修効果を高めるツールになるのです。
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