顧客に「刺さる」セールストークがしたい【お悩み相談】
- 目次
今回のお悩み
演劇部出身の僕は、プレゼンやトークのスキルに自信があって、このたび念願の営業職に就きました! お客さまは、僕のお話に熱心に耳を傾けてくれているようです。でも、 なぜか納得のいく売上成績が出せません。説明もうまいとほめられるのに......。最近なんだか自信喪失気味です。( 演技力には自信がある営業担当者・20代男性 )
「セールストークが上手い」ってどういうこと?
よく通る声で、臆せずに堂々と話すことができる。それは、接客や営業などではきわめて有利な「強み」ですね。お話する相手から「自信」が伝わるだけで、お客さまは安心するものです。
でも相談者さんは、どういうわけか渾身のトークがうまく刺さらない。
それはひょっとしたら、一方的に自分の言いたいことを語るばかりで、 〈相手のニーズを汲み取ったうえで、セールストークを展開する〉ということに課題をお持ちなのかもしれません。
セールストークでは、商品・サービスのイチオシのポイントを語るのが一般的ですが、単に情報を並べ立てるだけになってしまうことがあります。
「ココがすごい!」の列挙だけでは、いくら饒舌でもつまらない。
セールストークを語る方がまず教わるのは、自社の商品・サービスの独自性やすぐれている点などのポイントを推す、ということ。たとえば下記のフレーズなどは、よくある内容ではないでしょうか。
「こちらは、日本に数人しかいない職人が手作りした、弊社でしか販売していない一点モノです」
「こちらは、業界でもトップのシェアを誇る商品なんです」
しかし、こんなふうに自社の商品・サービスを「主語」に置くトークは、いくら熱く饒舌に語っても"刺さらない"ことがよくあります。
実際には、「すごいのはわかったけど、具体的にどう役立つの?」「要するに自慢話ってことかな」「それは見ればわかるけど......」などと、通り一編のトークに飽きてしまっているのです。
お客さまに商品・サービスをおすすめするときは、「商品・サービス」ではなく、 「お客さま」を主語に置くということを、ぜひ意識してみましょう。
「お客さまのニーズ」に応じて、話の切り口を変えていこう
目の前にいるお客さまに"刺さる"セールストークをするためには、商品・サービスを手にするお客さまの関心(ニーズ)によって、アピールする切り口を柔軟に変えていくのが大事です。
たとえば、 家電量販店の店頭にて、新製品のパソコンをおすすめするシーンを考えてみましょう。
●「コスト」重視のお客さまの場合(例)
「気に入ったけど、予算がちょっと............」
「わかります、気軽には手が出せない価格ですよね。やはり価格を気にされるお客さまは多いんですが、こちらのモデルを昨年度のモデルとくらべるとお値段は据え置きながら高性能で、ご納得いただいてご購入される方が、かなり多いですよ。よろしければご検討ください!」
●「手厚いサポート」重視のお客さまの場合(例)
「前のパソコン、すぐ壊れちゃって......。」
「それはたいへんでしたね......。お客さまにはぜひ、こちらの3年間保証がついているタイプのものをおすすめしたいです。保証期間は1年間とするメーカーが多いので、長くご安心いただけるかと。」
●「デザイン」重視のお客さまの場合(例)
「これ、シンプルなデザインでいいですね。」
「お仕事でもプライベートでも、いろいろなシーンになじむデザインとサイズ感ですよね。こちらと似た雰囲気のものですと、こんなものもあります。」
「よく語る」ためには、「よく"きく"」ことが重要!
お客さまに商品・サービスをおすすめするとなると、プレゼンのようにこちらが一方的に働きかけるものだ、と考えてしまいがち。たしかに、"推す"プレゼン力も重要ですが、実は「お客さまのお話にじっくり耳を傾け、お客さまが考えを答えやすい質問を投げかける」という 適度な受け身の姿勢でいることも、同じくらい重要なんです。
【あわせて読みたい】
すぐできる!お客さまのニーズを引き出す「限定質問」の仕方
ヒアリングスキルを磨く ~お客さまの心をつかむセールス(4)
鉄則は「お客さまのニーズをトークに反映させる」こと
お客さまの考えを聞き出せたら、その情報をもとに「自分がお客さまの立場なら......」「お客さまがこの商品を使うなら......」と想像をする習慣をつけてみましょう。
そして「お客さま」を主語におき、セールストークを「目の前のお客さまに合う内容」に臨機応変に変えてみます。それだけで、お客さまは「もし自分がこの商品・サービスを使ったら、どんないいことがあるだろうか?」と、想像しやすくなります。
「相手が知りたいこと」をうまく押さえ、そして自信あふれる佇まいでふるまうことができれば、独りよがりでない "刺さる"トークができるようになるでしょう!