研修担当者

「論理的思考力」育成の研修カリキュラムをつくるコツ

目次

ビジネスパーソンにとって、「論理的思考」は"OS"である

「人に説明する」「問題点を探る」「判断を下す」......等々、ビジネスの現場では、様々な「思考力」が試されるシーンがあります。そのとき求められるのが「論理的思考(ロジカルシンキング)」です。

コンピュータの構成要素に例えるならば、それはOS(Operating System:コンピュータに基本動作をさせる、中核的なシステムソフトウェアのこと)のような不可欠なものだと言えるでしょう。

とくに、対人コミュニケーションにおける「論理的思考力」は何よりも重要です。仕事は人とのコミュニケーションありきで進むものですので、自分の考えを"論理的に"伝えられなかったり、異なる意見をすり合わせたり、ときには議論したり説得したりできなければ、業務を進めることはできません。

「論理的思考」は、早期から学ばせたい基本スキルのひとつ

このように、考え方の異なる人と人との間に、"互換性"を持たせるのが「思考の論理性」です。したがって、論理的思考は、なるべく早い段階から実務的スキルとあわせて同時に育成していくべきスキルのひとつであるといえます。

論理的思考力の有無は、 "先天的に決まっている"ものではありません。むしろ論理的思考は、訓練によって後天的に身につけることができるスキルのひとつです。
多くの欧米諸国においても、子どもの頃から家庭や学校で「相手と議論を交わせる機会」を取り入れています。そのためか、帰国子女の方たちを見ても「自分の意見」を臆せずに述べられる傾向がある人が多いのを実感できます。

仕事において、論理的思考が何よりも重要であることは前述のとおりです。社会人教育でも、論理的思考力は、「まずは、もう少し実務を覚えさせてから......」などと言わず、早い段階から養っていくのがよいでしょう

「論理的思考」を身につけるには、適切なトレーニングが必要

論理的思考を身につけ、ビジネスシーンで使えるようになるためには、職場内研修などのトレーニングの機会が欠かせません。
しかしながら、「論理的思考力の育成」という学習テーマは、ともすると抽象的な概念の話に終始してしまいがちです。「論理的思考がどのようなものかはわかった。でも結局のところ、自分はどうすればいいの?」という感想を抱く受講者も少なくありません。

"実用的な"研修をつくるコツ:「アウトプットからの逆算」

では、いかにして受講者に"有用"なロジカルシンキング研修をつくればいいのでしょうか。そのポイントは、「論理的思考をつかって何をするのか(何をアウトプットするのか)」を逆算して考えて、学習のゴールとして据えるということです。

ビジネスでとくに論理的思考力が求められる場面は、たとえば「お客さまへの提案書を"書く"」「電話でお客さまを"説得する"」というような、具体的なアウトプットの場面です。このような論理的思考力をつかったアウトプットの場面をはじめに考えて、ゴールに据えてから、カリキュラムを逆算して考えてみましょう。

どのような場面で、どのような論理的思考の働かせ方が必要になるのかわかれば、どのような訓練が必要なのかもわかってきますし、受講者も、講義・ワークと実践との結びつき、学びの実用性を実感できます。

研修でインプットした知識・スキルは、実践と結びついていなければ、能力として身につきません。研修や技術指導のカリキュラム設計においては、「研修の後」を意識した、トータルな教育の"しかけ作り"こそが大事だということを、念頭に置いておくとよいでしょう。

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