課題選びが問題解決のカギを握る~ロジカルシンキングとクリティカルシンキング
2018.10.10
- ビジネス
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「経営は問題解決の連続である」とは、多くの経営者の方々が口にしてきた言葉ですが、まさに、経営トップから現場スタッフまで、仕事に関わるあらゆる人にとって、「問題解決」とは、避けることの許されない重いテーマといえるでしょう。
さて、この「問題」の定義については、「目指す姿」と「現状」の間にある「ギャップ」
として定義されることが多いと思います。この定義に従えば、問題を見つけようとしても、「目指す姿」を明確に持っていないと、その問題そのものの存在がぼやけてしまいますし、「現状」がきちんと認識できていないと、これまたどの程度、その問題が深刻なものなのかが分からないということになります。
■チームのレベルを高めるための、有効な課題設定
さて、「問題」と似たような表現として「課題」という言葉がありますが、実は、「問題」
よりも「課題」を発見することの方が難しいといわれています。
問題は「目指す姿と現状のギャップ」であり、発生している状況を表したものであるのに対し、課題は「目指す姿を実現するためになすべきこと」であり、解決に向けた取り組みを表すものといえます。
「課題」が解決に向けた取り組みである以上、有効なものでなければ意味がありません。有効な課題設定ができれば、チームの成果は飛躍的に高められますが、的外れな課題を設定してしまうと、 いくら頑張っても成果が出ない、という悲惨な状況にメンバーを迷い込ませてしまうことになります。
この"有効な課題設定"を行う上でカギとなる考え方が、ロジカルシンキングとクリティカル
シンキングです。
ロジカルシンキングのフレームワークの中でも特に有名なもののひとつである「ロジックツリー」は、問題の原因を突き止める上で非常に重宝なツールといえるでしょう。
例えば、ここ最近、売上が目標に達せず伸び悩んでいるという「問題」を抱えている場合、ロジックツリーを使ってその原因を探っていく作業は、以下のような図で表すことができます。
このように、ロジックツリーを使うと、考え得る原因を幅広く洗い出すことができると同時に、一つひとつの原因を掘り下げていくことによって、具体的かつ本質的な原因に近づくことができるようになります。
■重要な原因の見極め
現実には全ての原因に対してシラミつぶしに対処していくわけにはいきません。これらの中で、問題のカギを握っていそうなより重要な原因を見極めたうえで、対処することが求められます。
この見極めの場面においては、クリティカルシンキングの基本姿勢である、「目的に立ち返って考える」「前提を疑って考える」「違う視点から考える」といった考え方が大変役立ちます。
例えば、「売上が伸び悩んでいる」と聞いて、「営業マンの動きが悪いからじゃないか?」と反射的に考えてしまいがちなリーダーは、一度、 他の原因もクリティカルな視点で精査してみることが必要です。明らかにその市場が飽和状態にあるということが分かれば、根性論で新規客の獲得を強化したところで、売上の回復は期待できません。 それならば、既存客からの買上高アップを図るなど、別のアプローチが必要ということになります。
原因の精査を踏まえて、課題として取り上げるにあたり、もう一つ気を付けなければならないのが、「イシューとして成り立っているかどうか」です。
例えば、「売上が伸び悩んでいる」という問題に対して「景気の悪さ」という原因があげられた場合、それを「課題」として取り上げるべきでしょうか。景気が回復すれば、売上も伸びる可能性はありますので、原因の一つとしてあがること自体は不自然ではありません。しかし、一企業に景気を左右するような対策が打てるはずもなく、これを「課題」として取り上げて議論する価値は極めて低い(=イシューではない)わけです。
このように、何を「課題」として取り上げるかが問題解決においては重要になるため、それを見極めるためのロジカルシンキングとクリティカルシンキングのハイブリッド活用を、ぜひ身につけていただくことをお薦めします。
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