今日の時代背景が管理職に求める能力とは
新興国の成長による「全世界のフラット化」、世界が実質的に1つの市場となる「グローバル化」など、
経営環境が激変する今日、前例を踏襲していくだけでは企業や組織を成長させるだけでなく、維持することも困難な状況となっています。
更に日本では、他国に例を見ないほど、少子高齢化社会が進んでおり、多様な人材の活躍推進が急務と言われています。
そんな現代の管理職には、環境に適応して、自ら経営判断を下し、素早く実行に移すことにより、「管理職として大きな成果を上げること」が求められています。
「自ら経営判断でき、素早く動ける管理職」になるための2つの判断軸
管理職は2つの判断軸を理解することが求められます。
1つ目は「収益確保」です。働く人や家族を守るため、まずは「利益を稼ぐこと」が判断の拠り所となります。自己資本利益率(ROE)10%以上を見据えた判断が求められます。
2つ目は「社会的責任」です。社会的責任に関する国際規格「ISO26000」の社会的責任の7つの原則を理解したうえで、判断することが大切です。
「社会的責任を果たさない企業は存続できない」と言われるように、現代の管理職には経営者と同じ目線を持ち、経営者にも見えていないリスクをも発見し、冷静に対処することが求められます。
「自ら経営判断でき、素早く動ける管理職」になるための6つの能力
判断軸に沿って、素早く動くためには、下記6つの能力が必要です。
① 業務遂行・業務プロセスデザイン力
② 業績拡大力
③ リスク管理力
④ 変革力
⑤ 組織デザイン力
⑥ 部下育成力
業務遂行・業務プロセスデザイン・業務拡大力
~不連続な成長時代を生き残るために
労働力不足の中、「特定の人しか業務を遂行できない」という「属人化した」状態では、組織が成長し続け、生き残っていくことはできません。
自部門における目標を十分に理解したうえで、D(実行)の勢いを重視したPDCAを回すことが必要です。
また、多様なメンバーが活躍できるプロセスデザインを組むことも、現代の管理職が磨くべき能力と言えるでしょう。
更に、「今までと同じ」では生き残っていけないため、業績拡大力も重要です。
そのためにまず、以下の2ステップを理解する必要があります。
【ステップ1:業務改善フェーズ】
業績拡大のため、既存業務を8割の資源(人や時間)でこなすことを目指す
【ステップ2:イノベーションフェーズ】
改善で得た2割の資源(人や時間)を使って、3割の業績拡大を目指す
この時、数値で経営状況を把握することも欠かせません。
これらの能力は、激化する経営環境の中で組織の明暗を分けるほど、重要なものです。
リスク管理・変革力
~リスクへの知識を深め、新しいことに挑戦する
インターネットによって情報の拡散力が格段に増した現代は、企業のリスク範囲が急激に拡大しています。
一個人のソーシャルメディアによる「つぶやき」で、組織の存続が危機にさらされるといった事態は、その典型例です。
その他には、セクハラ・パワハラ、過重労働、不正取引など、
日頃から自組織におけるリスクと対処を洗い出し、個人の解釈に任せず、ルールとして明文化することが大切です。
しかし、リスクを恐れるあまり、新たなことに挑戦しなくても良いという訳ではありません。
5年後、10年後の視座から新しいことにチャレンジするために、変革を実現していくことも現代の管理職には求められています。
組織デザイン・部下育成力 ~計算された組織編成と人材育成
成果を上げるために、時には大胆な組織編成も必要です。
既存の組織図に絞られることなく、メンバーのスキルを把握し、業績をあげることのできる組織編成を考えることが重要です。
また、部下との日頃のコミュニケーションによる動機付け、計画的な指導、部下を成長させる正しい評価を通じて、部下育成することが必要です。
以上が「現代の管理職に求められもの」です。
次回は、これらを養うための研修をご紹介いたします。