部下の目標管理を上手に行うための5つのポイント
組織における「目標管理」とは、社員自ら目標を立て、それを達成できるよう創意工夫することを指します。目標管理を行うことで仕事にポジティブな社員が増えれば、組織全体の業務効率化や生産性向上が促され、組織目標が達成されやすくなります。部下の目標管理をマネジメントすることは、管理職に求められる重要な役割と言えます。
そこで今回は、管理職として部下の目標管理を上手に行うためのポイントを、目標設定から達成させるまでの流れに沿って5つご紹介します。参考にしていただければ幸いです。
- 目次
「目標管理」と「ノルマ管理」の違い
目標管理において最も大切なことは「社員自ら目標を立てること」です。自分で立てた目標を、自分で管理しながら達成していくことで、仕事に対する意欲と満足度が高まります。
「具体的にどのような目標を立てたらいいのかわからない」という部下がいる場合、あるいは「部下の立てた目標があまりにも組織の目標から外れている」という場合は、上司とよく話し合い、お互いに納得のいく目標を設定することが求められます。
なお、上司が部下に一方的に目標を与えて、その達成を管理するのは「ノルマ管理」であり、目標管理ではありません。達成できそうもない目標を上司から押しつけられても、部下は困惑してモチベーションや生産性が低下するリスクがあります。気をつけましょう。
目標はできるだけ多く挙げ、優先順位を決める
まずは以下4つの基準に基づき、目標対象を洗い出すことから始めます。この段階では、以下の基準に沿った目標をできる限り多く挙げることが重要です。
- ①経営方針・部の方針に沿ったもの
- ②顧客向けサービスの観点から改善を要するもの
- ③改善すると効果の上がるもの
- ④緊急性が高いもの
目標をできるだけ多く挙げたら、優先順位づけを行い、実際に実行に移す目標を決定します。以下の条件を満たしているものから、順に実行するようにしましょう。
- ①目に見えて社内や顧客の評価が上がるもの
- ②短期間で評価できるもの(長期目標の場合でも段階を分けて短期間にする)
- ③数値目標にしやすいもの
- ④業務遂行に密接なもの など
目標設定における3つのポイント
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1.明瞭な目標
漠然とした目標では、業績達成に向けた部下の意識統一ができません。"何を(目標項目)、いつまでに(期間、時点)、どの水準にする(目標値)"のかを、明瞭に決めることが必要であり、それを決めるのが管理職の仕事です。
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2.少し頑張れば達成できる目標
目標は高く設定することが必要ですが、部下のレベルを無視した、非現実的な目標では達成は容易ではありません。また、逆にあまり低い目標では張り合いがなく、達成時の喜びも少ないものとなります。少し頑張れば達成できそうなレベルに目標を設定することが重要です。
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3.具体的で計測可能な目標
誰が見ても同じ理解を得るような、分かりやすい目標とするには、数字を用いるのが効果的です。数字なら効果測定も容易です。営業部門なら売上目標などの数字がありますが、非営業部門でもできるだけ数値化を工夫することが管理職の仕事です。
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例えば、管理業務の目標として「作業時間の短縮」だけではゴールが曖昧ですが、「作業時間を現状の50%にする」まで設定すれば計測可能です。また、「書庫整理方法の変更による作業効率の向上」では具体性に欠けますが、「一人1時間あたり5つの棚で作業できるようにする」と行動レベルにまでブレイクダウンすることで実行可能性が高まります。また、接客業務やコールセンター部門などでは、「サービスレベルの向上」という目標を「クレーム数」で表すことができます。
その他部門を問わず、知識の習得やスキルアップを目標とする場合には、社内テストの点数や資格試験の結果も使えます。
目標を達成させるための2つのポイント
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1.簡単な計画をつくる
目標の実現には、計画づくりが重要です。ただし、計画倒れにならないよう、まずは短期間で実現できる目標を立て、少しずつ実現していくのが得策です。
業務に応じて多様な計画づくりがあると思いますが、まずは1ヶ月を「1ステップ」にし、1カ月に1度チェックすることから始めてみましょう。月1回の振り返りを基本にした計画づくりからスタートするのが、最も無理のない計画づくりです。
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2.目標実現を「楽しいこと」にする
大人はあまり「ほめられること」がありません。そこで管理職には、ちょっとしたことでも部下をほめる機会を増やし、計画実践が「楽しいこと」となるような工夫が求められます。
- (例)楽しい工夫の例
- ・お客さまからほめられたら、「表彰」する
- ・一日の目標を達成したら、「全員で拍手」をする
- ・改善はゲーム感覚で(運動会のように「よーいドン!」で一斉に作業する、何かできたら小さな
賞品がもらえる、など)
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目標管理は個人の自主性を重んじるものですが、部下が自分で立てた目標を達成できるよう、管理職が動機づけを行う必要があります。自分の立てた目標を常に気にかけてくれ、定期的に評価してくれる上司がいる職場は、部下の方も「達成のための努力のし甲斐」があるというものです。部下がいい気分で目標を実現できるよう、管理職も工夫していきましょう!