インソース・ビジネスレポート
グローバル・タレント育成のためのフィリピン活用について
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業の業務プロセスの一部を外部の専門業者などに委託することであるが、コールセンター業務においては世界中でBPOが盛んに行われている。
時間帯によって地球上の異なるロケーションのコールセンターをリレーして24時間対応するというサービスは90年代からすでにあった。筆者もアジア時間の深夜、欧州系航空会社に電話で問い合わせていたところ、話している相手はサンフランシスコのオペレーターであったという経験がある。しかし、航空会社のような昔ながらのグローバル企業だけではなく、今では多くの業界のグローバル企業においても、地球上どこからでも24時間応対するコールセンターの設置が必要不可欠となっている。
フィリピンではすでにAT&T、デル、シティバンクといった名だたる企業が24時間応対のコールセンターを構えており、マニラのオフィス街では文字どおり不夜城のごとく稼働するコールセンターが増え続けている。
一昔前まで、BPOとしてのコールセンターといえば、世界の中では長らくインドがトップの地位を占めていた。この状況から2010年頃には、フィリピンがインドを抜き去ってトップに立っている※7。独特の「インド訛り」のブリティッシュ英語よりも、フィリピン人のほうが米国アクセントに近い英語を話す人材が豊富にいること、そもそも米国の植民地であったフィリピンのほうが米国との親和性が高いことなどから、特に米国企業の評価が高いようだ。
もっとも、このような優位性がなくとも、明るくフレンドリーな国民性は顧客サービスに向いており、これに高いコスト競争力が加わるわけであるから、米国企業に限らず世界中から注目を集めていることは、ある意味、当然の結果と考えられる。
日本企業ですら国内の人件費が安いところにBPOを行うことは今や常識だ。しかし、日本語がボトルネックとなるため、コールセンターの場合はせいぜい沖縄県などに移すことが精いっぱいで、一部の例を除いて海外へ出ることもなかった。まして、国外から日本にコールセンターが移ってくることなどあり得ない状況である。
フィリピンのケースは、英語さえできればボーダーレスなビジネスに比較的容易に参入できる典型として、日本人は謙虚に学ぶ必要があろう。なぜなら、ここに挙げたような英語が話せるだけで参入できる比較的単純なビジネスだけではなく、英語を共通のプラットフォームとして成り立つグローバルなBPOは、ICT(情報通信技術)分野などでも積極的に展開されているからだ。
きわめて合理的に構築されるグローバル・サプライチェーンは、フィリピン人のような英語にバリアがない人材を見逃さない。こうしたグローバルの潮流は、前述した人材の高度化ともあいまって、フィリピンの雇用を先端技術の分野でも増やし続けているのである ※8。
グローバル企業のコールセンターが集まるイーストウッドの街並み。 併設のショッピングモールは、内容や雰囲気などにおいて、シンガポールなどで見られる同様の施設に引けを取らない。また大半の店舗が深夜まで営業しており、治安もたいへん良いという。
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