インソース・ビジネスレポート
グローバル・タレント育成のためのフィリピン活用について

１.（１）グローバル・プレゼンスの高まり -インソース・ビジネスリポート（フィリピン英語研修／語学研修レポート）-

フィリピンのグローバル・プレゼンス

（１）グローバル・プレゼンスの高まり

数年前、スカイプを利用した英会話学習システムが台頭し、日本国内で英会話レッスンにおける価格破壊が進行したことは記憶に新しい。この時、フィリピンという国の存在をあらためて思い出した日本人は意外に多いのではないだろうか。

筆者の場合、アセアン諸国を中心に異なる業界で複数のビジネスに関与してきたが、日本から比較的近い距離にあり親日国でもあるフィリピンという国と関わる機会が、公私ともにこれまであまりなかった。たとえば、プロジェクト候補をアジアの中で探している際、フィリピンから何か案件が出てきても、似たような案件がタイ、ベトナム、インドネシアなどで見つかると、これらの国々のものを優先させていた。さまざまな条件を比較考量すると、検討過程の中でフィリピンの案件を優先させる理由をなかなか見つけられないでいたのだ。このような状況は筆者が当時所属していた組織特有の事情というわけではなく、他業界・他社での順位付けにおいても類似の状況があったと思う。こうしたことから、フィリピンを視界の外に置いてきたことは必然的な帰結であった。

そのフィリピンが近年、グローバル・ビジネスの世界で日増しに存在感が大きくなっている。そのような状況ができつつある背景には複数の要因が存在しているが、一番に大きい要因はフィリピン国民の多くがグローバルに通用する英語力を備えている点にある。この優位性に世界中のグローバル企業が着目し、拠点立地、人材獲得、そして人材育成といった観点から、フィリピンという国と人の活用を戦略的に進めているのである。